1993 Fiscal Year Final Research Report Summary
神経細胞骨格蛋白並びに神経伝達物質受容体に関する法病学的研究
Project/Area Number |
04670357
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Legal medicine
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中園 一郎 長崎大学, 医学部, 教授 (30108287)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 亮一 長崎大学, 医学部, 講師 (20098875)
久保 真一 長崎大学, 医学部, 助教授 (10205122)
|
Project Period (FY) |
1992 – 1993
|
Keywords | 神経細胞骨格蛋白 / 神経伝達物質 / 虚血性・低酸素性脳障害 / トルエン中毒 / MAP-2 / ビメンチン / FGF / HSP |
Research Abstract |
受傷後短時間生存例33例、長期間生存例4例、及び喘息等の低酸素発作の既往歴を持つ4例合計41例の剖検脳について一般神経病理学的染色を行い、アストロサイトの骨格蛋白であるビメンチン、神経細胞骨格蛋白のMAP-2、神経伝達物質のa-FGF、b-FGF、熱ショック蛋白のhsp70及びユビキチンの局在について免疫組織化学的に検討した。 短時間生存例の中で死亡直前に飲酒及びトルエンを吸引した例の神経細胞に熱ショック蛋白の発現が見られた。MAP-2は染色性の低下があり、特にトルエン吸引例では著明であった。 長期間生存した症例では低酸素・虚血の数時間後に神経細胞にa-,b-FGFおよび熱ショック蛋白の発現がみられ、凝固、壊死した神経細胞周囲に増殖するアストロサイトにはビメンチンとa-FGF及びb-FGFが発現した。このうち1例(18日生存)では海馬の神経細胞に形態的変化がないにもかかわらず、CA2-CA4ではMAP-2が神経細胞の細胞質に顆粒状に存在し、CA1では免疫活性を認めなかった。また、喘息等の既往歴のある例でも短時間の生存であるにもかかわらず、18日生存例と同様のMAP-2の局剤が認められた。 以上のことから、神経細胞におけるa-FGF、b-FGF及び熱ショック蛋白の発現は数時間以上の低酸素及び虚血などのストレスにより誘導され、MAP-2は神経細胞傷害により免疫活性の低下を示した。このMAP-2の染色性の低下は低酸素発作やトルエン吸引のある例で著明であった。さらにアストロサイトのビメンチン、a-FGF、b-FGFの発現は神経細胞の壊死の程度に依存していた。 従って、神経細胞に関する免疫組織化学的検討は脳障害後の病態と障害以前における既往歴の診断に有用である。
|
Research Products
(1 results)