1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670359
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小片 守 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (10152373)
|
Keywords | DNA多型 / マルチ・ローカス・プローブ / 死体組織 / 個人識別 / 死後変化 / 微生物 / 腐敗 / 法医学 |
Research Abstract |
1.死体諸臓器からのDNA抽出:死後1日までの死体各臓器からDNAを抽出したところ、肺、脾、腎、筋からMZ1.3多型を検出するのに充分な高分子量DNAが抽出され、特に肺から抽出したDNAは、いずれの例においても、最も明瞭な多型像を示した。一方、血液、肝、膵から抽出した場合は、収量にばらつきが多く、多型検出の成績も一定していなかつた。 2.微生物由来DNAによる多型像:室温に放置した筋繊維から採取した細菌を寒天培地上に大量培養し、ヒト組織からの抽出法と同様の手順を用いて細菌DNAを抽出したところ、細菌DNAからも大量の高分子量DNAが抽出された。細菌DNAを制限酵素で消化してMZ1.3型を検出してみると、Pseudomonas fluorescensの場合はヒトのバンドよりも幅の広い不明瞭なバンドが検出された。また、Citrobacter freundiiの場合は制限酵素によつて消化されなかつた。従つて、微生物DNAが混在していても、ヒト由来以外のバンドが加わる可能性は認められなかつた。 3.種々の抽出法を用いた場合のDNA多型像の比較:死体肺、筋組織から種々の方法(飽和塩化ナトリウム法、液体窒素法、ドライアイス法)を用いてDNAを抽出し、通常のフエノール・クロロホルム法による成績と比較したところ、いずれの方法によつても多型検出に充分耐えるDNAが抽出され、全く同一の多型像を示した。これらの方法は通常のフエノール・クロロホルム法に比べ簡便かつ安全にDNAが抽出できることから、組織からのDNA抽出法として今後検討に値する方法であると考える。
|