1992 Fiscal Year Annual Research Report
鼻腔誘導法による脳死状態の検討ー脳波自動解析システムによるー
Project/Area Number |
04670365
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
沖井 裕 関西医科大学, 医学部, 助手 (20121915)
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Keywords | 脳波 / 鼻腔誘導 / 脳波自動解析システム / 脳死 |
Research Abstract |
昭和53年以来、私が行って来た人体実験例ならびに動物実験の成績からみると、普通の脳波計によって脳死の判定が出来得るのではないかとの強い印象が持たれるが、それを一層確たるものとするために、更に一連の実験をなすことを志している。脳死判定に当っては標準脳波の消長の他に脳幹部のそれが重視されるべきであるのは当然である。そこで、鼻腔誘導法によって標準脳波よりも一層脳幹部に近い脳底部からの脳波の誘導を試み、且つ、その解析を行った。脳波の採取は、仰臥位の健常な被検者から、国際10/20電極配置法により頭頂・側頭・後頭の他に、鼻腔誘導を加えた左右計8部位から、耳垂を不関電極にとって、単極誘導で行なった。まず、鼻腔誘導法によって咽頭後上壁に刺入した銀塩化銀電極から誘導すると明白な波形が得られたので、その脳波と標準脳波との違いを知るために、脳波自動解析システムを用いて、健常人のそれぞれの脳波パターンの差異を検討した。その結果、鼻腔誘導脳波では、標準脳波に比較して、δおよびθなどの徐波成分が多く、α成分が少なかった。また、光刺激法(周波数 5Hz、光の強さ 6J)を併用して脳波各型の出現率をみると、標準脳波ではα1(8.0〜9.5Hz)の減少、θ1(3.5〜6.0Hz)の増加がみとめられたに対し、鼻腔誘導脳波では、それらに著名な変化が認められなかった。この様に、標準脳波と鼻腔誘導脳波との間には、明瞭な差のあることがみとめられたが、このことからすると、脳底部付近から誘導された此の鼻腔誘導脳波が、頭波表面からのそれとは別の、たとえば脳幹部付近に由来する脳波であると云うことも考えられる。
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Research Products
(1 results)