1993 Fiscal Year Annual Research Report
腎糸球体疾患の進行にかかわる活性型T細胞の浸潤に対する免疫抑制剤の効果
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04670367
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Research Institution | Tohoku University, School of Medicine |
Principal Investigator |
斉藤 喬雄 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (10125552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 博 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (60215829)
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Keywords | 巣状糸球体硬化症 / アミノヌクレオシド腎症 / FK506 / Cyclosporin / Tリンパ球 / ヘルパーT細胞 / 活性型T細胞 / 腎間質細胞浸潤 |
Research Abstract |
ヒト巣状糸球体硬化症の実験モデルであるpuromycin aminonucleosideおよびprotamine sulfate投与ラット糸球体硬化症に対して、免疫抑制薬FK506およびcyclosporin A(CYA)の効果およびその作用機序を細胞免疫組織学の点から検討した。平成4年度の研究から、これらの薬剤が高用量では腎毒性を有するものの、FK506 0.3,0.1mg/kgおよびCYA 3mg/kgでは腎機能に対する影響が少なく、至適用量であることが示された。この場合、腎間質の細胞浸潤の減少がこれらの薬剤投与により明らかとなったため、平成5年度には、腎間質内の免疫担当細胞の解析をモノクロナル抗体を用いた酵素抗体法により行い、これらの薬剤の効果との関連を検討した。その結果、FK506 0.3mg/kg群およびCYA 3mg/kg群において1mm^2当たりの総白血球数は約半数に減少しているが、Ia陽性細胞、単球、マクロファージ系細胞およびB細胞数については有意な減少が認められず、これに対して、FK506 0.3mg/kg群ではT細胞(OX19陽性細胞)およびヘルパーT細胞(W3/25陽性細胞)が有意に減少していた。さらに、活性型T細胞を示すIL-2レセプター陽性細胞についても対照群に比較してこの群では減少していた。以上の点から、FK506やCYAなどの免疫抑制薬は、至適投与量においてはその腎毒性の最小限の状態で腎障害を特異的に抑制することが可能であること、また、そのような特異的な抑制はこれらの薬剤のT細胞活性化阻止作用によることが、間質における浸潤細胞の検討から強く示唆された。なお、T細胞、ヘルパーT細胞、活性型T細胞の減少度はCYAよりFK506においてより高度であり、FK506の強力かつ特異的な細胞免疫抑制が明らかになるとともにこの薬剤の腎疾患治療における有用性が期待された。
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[Publications] Takao Saito: "Participation of macrophages in segmental endocapillary proliferation preceding focal glomerular sclerosis" Journal of Pathology. 170. 179-185 (1993)
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[Publications] Jun Soma: "Intraglomerular immune cell infiltration and complement3 deposits in membranoproliferative glomerulonephritis type I" American Journal of Kidney Diseases. 23(in press). (1994)