1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670368
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 譲 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (60125565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 勝男 東北大学, 歯学部, 教授 (00005018)
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Keywords | I型糖尿病 / インスリン依存型糖尿病 / TNFα / リンホトキシン / TNFβ / c-fos / 胸腺細胞 / NODマウス |
Research Abstract |
我々は、連鎖球菌製剤などの免疫賦活剤よる慢性的、非特異的免疫刺激や、それによって生体内で誘導されるTNF/LTなどの投与がI型糖尿病モデル動物のNODマウスやBBラットの膵島炎や糖尿病発症を抑制すること、さらに、糖尿病発症率の高い雌性NODマウスは雄性NODや正常マウスと比較してTNF/LTの産生が低いこと、BBラットもTNF/LTの産生が低いことなどを報告してきた。しかし、現在のところ、I型糖尿病の成因におけるTNF/LTの低産生性の意義や、TNF/LT投与によるI型糖尿病発症抑制機構の詳細は分かっていない。TNF/LT投与 NODマウスでは、膵島炎が軽快する、同系マウスリンパ球混合培養反応が亢進する、cyclophophamideの糖尿病発症促進効果がない、などの所見からTNF/LTの投与は免疫系を修飾し、β細胞障害性エフェクター細胞の誘導そのものを抑制した可能性や、エフェクター細胞の機能を麻痺させた可能性が推測される。本研究では、胸腺における免疫寛容の誘導に関係する前者の可能性を検討するため、NODマウス胸腺細胞における核内因子c-fos発現とLT投与の影響を、抗Fos抗体で染色して、FACSで解析した。 C3H/HeNやBalb/cなどの正常マウスではFosの発現に性差はなかった。しかしNODマウスでは性差があり、雌性NODマウスは雄性に比較してFosの発現が有意に低く、この傾向は若齢ほど強かった。胸腺ではTリンパ球の分化段階に応じて、CD3^<low>時にネガティブセレクションを、CD3^<intermediate>時にポジティブセレクションを受けると言われているが、雌性 NODマウスでは、特にCD3^<low〜intermediate>陽性細胞のFosの発現が有意に低かった。糖尿病発症抑制作用ある1,000単位のLT投与はFosの発現を有意に亢進させた。LTの低産生がFosの低発現に関係し、LTの投与は胸腺細胞内の情報伝達系を活性化させることによってTリンパ球の選別、免疫寛容の誘導に影響を与えている可能性が考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Shun・ichi Tanaka: "Increased in vivo production of tumor necrosis factor after development of diabetes in nontreated,long-term diabetic BB rats" Clin,Immunol.Immunopathel.62. 258-263 (1992)
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[Publications] Hiroaki Seino: "Prevention of autoimmune diabetes with lymphotoxin in NDO mice" Diabetes. 42. (1993)
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[Publications] 高橋 和眞: "リンフォトキシンによるBB/Worラットの自己免疫性糖尿病発症抑制" Diabetes Frontier. 3. 616- (1992)
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[Publications] 尾崎 賢一: "NODマウスへの食餌性ポリエン酸の影響" Diabetes Frontier. 4. 143- (1993)
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[Publications] 佐藤 譲: "インスリン依存性糖尿病とサイトカイン" 治療学. 26. 17-20 (1992)
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[Publications] 佐藤 譲: "NODマウスを用いる成因研究の進歩 ーTリンパ球の役割" Diabetes Frontier. 3. 26-31 (1992)
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[Publications] 佐藤 譲: "糖尿病記録号1992" 七里元亮, 343 (1992)
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[Publications] 佐藤 譲: "糖尿病の分子医学" 門脇 孝, (1992)