1992 Fiscal Year Annual Research Report
凝固第XIII因子Aサブユニット遺伝子多型の臨床応用ならびにその欠損家系の遺伝子解析
Project/Area Number |
04670392
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡村 孝 九州大学, 医学部, 助手 (30136436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊嶋 崇徳 九州大学, 医学部, 医員
村川 昌弘 九州大学, 医学部, 医員
原田 実根 九州大学, 医学部, 助教授 (00019621)
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Keywords | 凝固第XIII因子 / 先天性出血性疾患 / 遺伝子解析 / 先天性凝固XIII因子欠損症 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
CDNAプロープを用いて,正常日本人95例の凝固XIII因子Aサブユニット(FXIIIA)遺伝子のRFLP解析を行い,制限酵素PvuIIで新しいRFLPバンドを発見した。これは,イントロンDに存在する7.6kbと7.0kbのRFLPバンドおよびイントロンIに存在する6.4kbと6.0kbのRFLPバンドであり,それぞれのallele fregencyは,0.66/0.34および0.46/0.56であった。これを用いてFXIIIA欠損家系の保因者診断が可能であった。また,骨髄移植後の生着確認にも利用可能であり現在症例を集積中である。 次にFXIIIA欠損症(Aサブユニット抗原および活性とも血液中濃度測定感度以下)の家系において異常遺伝子解析を施行した。患者単球からのFXIIIAmRNAサイズは,正常者単球および細胞核U937からのmRNAとほぼ同大であり,またサザーンブロットでも患者白血球DNAで,FXIIIA遺伝子に大きな欠失や付加はみられなかった。リバトラPCR法で患者単球FXIIIAmRNAを4つの断片にわけて増幅し,塩基配列を検討したところ,mRNA210-213のAGAG4塩基のうちAGが欠損していた。また遺伝子では,イントロンBとエクソンIIIの境界部のAGAG4塩基のうちAG2塩基が欠損して,残りのAGがイントロンBのsplice accepforとなり,結果としてエクソンIIIの5´末端の2塩基AGの欠失と判明した。このmRNA212Aおよび213Gの欠失により6塩基下流にTAAのstop codonが生じ成熟蛋白が合成できなくなったと考えられた。患者の子供2人においてこのAG欠失がヘテロ接合体であることが証明された。このFXIIIA欠損症の遺伝子解析は世界で初めての発表である。
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[Publications] Kamura,T,Okamura,T.et al: "Deficiency of coagulation factor XIII A subunit caufed by the dinucleotide deletion at the 5´end of exonIII" J.Clin Invest. 90. 315-319 (1992)
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[Publications] Murakawa,M,Okamura,T.et al: "Diversity of primary struotures of the carboxy-terminal regions of mammalian fibrinogen Aα-chains." Thrombos Haemostas. 69. (1993)