1992 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患の治療戦略としてのデヒドロエピアンドロステロンの妥当性
Project/Area Number |
04670398
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 登 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 講師 (40235982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂根 剛 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40127519)
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / IL-2 / デヒドロエピアンドロステロン / IL-2mRNA |
Research Abstract |
全身性エリテマトーデス(SLE)の病態の形成には免疫調節性T細胞の機能不全中でも患者T細胞のIL-2産生不全が重要である。研究代表者らは男性ホルモン合成系の中間産物であるDehydroepiandroslerone(DHEA)が正常ヒトT細胞に作用して抗原刺激によるIL-2産生を増強させることを見い出した。本年度はIL-2産生増強に関するDHEAの作用機序とSLE治療への応用の可能性を検討した。まずDHEA存在下に正常ヒトT細胞を抗原刺激するとIL-2産生量は明らかに増加した。DHEA処理により活性化T細胞のIL-2mRNA発現はIL-2蛋白産生量とほぼ比例して増加した。DHEAがIL-2遺伝子の転写調節に陽性に作用するのかレポーター遺伝子を用いて検討したところ、DHEAはIL-2プロモーター領域に作用して、IL-2産生を亢進させることが分かった。次にDHEAの特異的な結合蛋白をサウスウエスタン法を用いて検討した。分子量約97Kdの蛋白がDHEA結合蛋白の可能性が高いと考えられた。これらの結果からDHEAはT細胞の細胞質内の特異的なDHEAレセプターと結合し、DHEA/DHEAレセプター複合体を形成して、細胞核内に移行し、IL-2プロモーター領域の一定の配列を認識しその転写を亢進させて、IL-2mRNAの産生を増加させ、それに対応してIL-2産生が増強され免疫賦活作用を発揮することがわかった。SLE患者にDHEAを応用すればIL-2産生不全が改善し、それに随伴してSLEの病態が改善する可能性がある。まずSLE患者血清DHEA濃度を検討すると患者では正常者に比し明らかに低値であった。この成績からSLE患者T細胞のIL-2産生低下は血清DHEAの低値よる可能性が示唆された。そこで患者T細胞に対するDHEAの効果をin vitroで検討した結果、DHEAはSLE患者T細胞のIL-2産生不全を改善できることが明らかになった。これらの成績からSLE患者のIL-2産生不全は血清DHEAの低下によること、さらにDHEAを補充することでSLE患者Tリンパ球のIL-2産生不全を是正することで、新しい治療薬としての可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Noboru Suzuki, Tatsuhiro Harada, Yutaka Mizushima,Tsuyoshi Sakane: "Possible pathogenic role of cationic anti-DNA antoartibodies in the dcaelopnent of neploutis in pahents with sptanic lupus erythematosus." The Journal of Immunology.
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[Publications] M Takeno, N Suzuki,H Nagatuchi, Y Mizushima,T Sakane: "Selectine suppcession of resting B cell function in patients with systemic lapus erythematosus treatod with cyclophosphamide" Clinicul Experimenlal Rheumatoloy.
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[Publications] 鈴木 登,鈴木 知子: "デヒドロエピアンドロステロンによるIL-2遺伝子の発現誘導:全身性エリテマトーデス治療への応用の妥当性" 臨床免疫. 25. 317-323 (1993)
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[Publications] Noboru Suzuki, geottosy S Kansas Edgar G Englemau: "Lymphocytcs : structure and Function in Arthritis and Allied conditions 12th eclition; a toxtbook of nheumatology" Lea and F ebiger Philadelphia USA, 12(2087) (1993)