1993 Fiscal Year Annual Research Report
腸管IgG Fc Binding Siteの基礎的検討と臨床応用の可能性
Project/Area Number |
04670400
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Research Institution | KITASATO INSTITUTE |
Principal Investigator |
濱田 慶城 (社)北里研究所, 病院, 内科医長 (00137994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 研介 東京歯科大学, 市川病院, 内科医長
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Keywords | IgG Fc Binding Site / 大腸杯細胞 |
Research Abstract |
腸粘液は生体防御機構において第一線のバリアーとして極めて重要な役割を果たしていると考えられているが、その機構については充分解明されていない。我々はヒト腸管の杯細胞の粘液中にIgGのFc部分に対するBinding Site(FcIBS)が存在することを発見し報告した。我々はこのFcIBSに対するモノクローナル抗体を作成した。この抗体を用いた免疫抗体法では、病原菌とそれに特異的なIgGの結合物にFcIBSが粘液と共に結合することが明らかにした。生体内でも同様機序が働き病原菌をトラップしている可能性が推測される。今回FcIBSの役割をさらに追及するとともにrecombinant FcIBSを作成し、FcIBSの生理的意義を明らかにする。1)rFcIBSの作成:ヒト大腸粘膜より大腸上皮細胞を単離し、それに含まれるmRNAを含むpoly(A)RNAを精製し蔗糖密度勾配に重層しmRNAを含む各分画にまで分離した。これをアフリカツメガエルの卵母細胞で翻訳させ、FcIBS-mRNAの画分を得るところまでには至ったが、cDNAの合成がうまく行かず。今回はcDNAを得るところまでには至らなかった。今後さらに合成に全力を注ぐつもりである。2)病原菌に対するFcIBSの影響:ヒト大腸粘膜より精製したFcIBSを含む分画をウサギ下痢原性大腸菌(RDEC-1)、ヒト病原性大腸菌(0111)、ネズミチフス菌(04)とそれぞれに対する特異抗体(IgG)およびコントロールとしての非特異抗体(IgG)と混合培養しコロニー数を数えることで病原菌の発育における特異抗体とFcIBSの影響を検討した。その結果ではRDEC-1ではコロニー数は細菌-特異的IgG-FcIBS群<細菌-特異的IgG-バッファー群≦細菌-非特異的IgG-FcIBS<細菌-非特異的IgG-バッファー群という傾向が見られた。大腸菌とネズミチフス菌においてもほぼ同様の傾向が見られた。以上よりFcIBSはIgGと協力して病原菌の発育を抑制する可能性もしくはFcIBSを含む溶液中に制菌作用のある物質が含まれている可能性が示唆された。
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