1992 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肝炎の肝細胞障害機構における内皮細胞白血球接着分子の関与について
Project/Area Number |
04670426
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小山 泰生 名古屋大学, 医学部, 助手 (40192067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 吉秀 名古屋工業大学, 保健管理センター, 講師 (40181284)
井本 正巳 名古屋大学, 医学部, 助手 (10158769)
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Keywords | 接着分子 / 慢性肝炎 / 肝硬変 / 原発性肝癌 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
肝生検、手術または剖検によって得られた慢性肝炎、肝硬変、原発性肝癌の組織、および対照として剖検により得られた正常肝組織をPLPにより固定した後、凍結切片を作製し、4種の接着分子(ICAM-1 ICAM-2、ELAM、VCAM)に対するマウスモノクローナル抗体を用いて免疫染色を行った。その結果、下記の成績を得た。 ICAM-1:正常肝では門脈域の小血管と小葉内の類洞内皮に表出されていたが、肝細胞には表出しなかった。慢性肝炎では類洞内皮に強く染色され、また壊死部にはより強い表出を認めた。一部の肝細胞にも陽性であった。門脈域のリンパ濾胞には樹枝状に表出していた。肝硬変では、上記所見に加え肝細胞周囲に蜂巣状に表出するのが認められた。原発性肝癌では血洞内皮に表出し、癌細胞に発現している例も認められた ICAM-2:正常肝では主にKupffer細胞に観察され、一部の類洞内皮も陽性であった。慢性肝炎、肝硬変では類洞内皮での発現が増強し、門脈域のリンパ濾胞に樹枝状に染色された。原発性肝癌では血洞内皮に表出し、一部の例では癌細胞に陽性であった。 ELAM:正常肝では表出を認めなかったが、慢性肝炎、肝硬変では門脈内皮が陽性となり、一部の例ではKupffer細胞に染色されていた。原発性肝癌では一部の例で血洞内皮に染色された。 VCAM:正常肝では表出されなかった。慢性肝炎、肝硬変では類洞内皮、Kupffer細胞に陽性であった。また、門脈域のリンパ濾胞に蜂巣状に表出していた。原発性肝癌では一部の例で血洞内皮および癌細胞に表出していた。 以上の所見より、各種の接着分子は、慢性肝疾患の炎症発現機序に関与していることが示唆されるとともに、原発性肝癌における癌細胞と宿主との免疫学的応答にもなんらかの関与をしていることが想定された。
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