1992 Fiscal Year Annual Research Report
膵外分泌腺導管抗原の遺伝子クローニングと組み換え蛋白によるELISA法の開発
Project/Area Number |
04670434
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
田村 智 高知医科大学, 医学部第一内科, 助手 (20240898)
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Keywords | 外分泌腺導管抗原 / 特発性慢性膵炎 / Sjogreis syndrome / Carbonic Anhydrase I / Carbonic Anhydrase II |
Research Abstract |
特発性慢性膵炎(ICP)あるいはSjogren症候群(SjS)に合併する慢性膵炎の病因を、自己免疫学的側面から明らかにするために独自に作成したモノクローナル抗体(SP3-1,IgM)の認識する外分泌腺導管抗原(PA3)を用いて、細胞性および液性免疫応答がICPおよびSjSで成立していることを同抗原に対する患者末梢リンパ球幼若化および血中抗体測定(RIA)により明らかにしてきた。本研究ではまず、PA3と類似した臓器分布を示しかつSjSにおいて自己抗体の存在が報告されているCarbonic Anhydrase(CA)との関係について検討を加え、両疾患における本抗原抗体系の意義を確認して診断への応用を検討することとした。 PA3と類似した臓器分布を示しかつSjSにおいて自己抗体の存在が報告されているCAについてSP3-1が認識しうるか否かを、Western Immuno blotting法を用いて検索した結果、PA3とCarbonic Anhydrase1(CAI)、II(CAII)の間にcross reactivityを認めた。更にICPについても同様の結果が得られた。 上記結果を踏まえSjS、ICP症例を対象にCAI、CAIIを固相化してELISA法にて患者血中の抗体価を測定した。CAIにおいて健常者(n=2)の吸光度値の平均が192.5に対しSjS(n=10)で210.0±33.9、ICP(n=6)で217.2±38.3、またCAIIでは健常者(n=2)の平均値が246に対しSJS(n=10)で227.6±38.7、ICP(n=6)で263.7±54.2の結果であった。 以上よりPA3とCAI、CAII間に共通抗原性は認められ、同一アミノ酸配列を有すると推測される。しかし、ELISA法による検討ではSjS,ICP症例のCAに対する血中抗体価は、健常人に比し若干高い傾向が見られたに過ぎず、今後更に検討を要する課題である。
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