1993 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス非構造蛋白領域NS3の分子生物学的解析によるC型慢性肝炎発症機構の解明
Project/Area Number |
04670447
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
蓮村 靖 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (40019956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹上 勉 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助教授 (10113490)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 非構造蛋白質 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)の非構造蛋白領域(NS)とくにNS3の生物学的意義を解明する目的で、まず平成4年度には、NS3領域を有する大腸菌発現ベクターを作製して、N′末端領域発現用ベクターからは32kDa蛋白、またC′末端領域発現用ベクターからは49kDa蛋白の2種の発現蛋白の採取に成功した。そして、これら2種の発現蛋白の抗原性をヒト血清を使用したウエスタンブロットで検討し、発現蛋白はともにHCV感染患者血清とのみ反応し、ウイルス非感染者の血清とはまったく反応しないことを明らかにした。平成5年度には、これら2種のNS3領域発現蛋白の生物学的特徴と機能を検討し、以下の成果を得た。1。発現蛋白とC型肝炎患者血清との反応性を検討する目的で、C型慢性肝炎患者血清を数ヵ月の間隔で前後3〜4回にわたり採取し、ウエスタンブロット法によって反応強度を比較した。その結果、N′末端領域発現蛋白に比し、C′末端領域発現蛋白との反応が常時一定して強く認められること、またインターフェロン治療後にはウイルス蛋白と血清との反応が完全に消失することが判明した。さらに、この反応性の検討の過程でC′末端領域発現蛋白との反応強度が患者ごとに相違することを見いだしたので、この反応強度と肝炎の進行度とを比較検討し、反応の強さは肝炎の程度と正の相関を示すことを明らかにした。2。発現蛋白に対する抗血清をイエウサギに対する免疫操作によって作成し、抗血清と患者肝組織との免疫反応を検索した。その結果、抗C′末端領域発現蛋白抗体との間に約70kDa蛋白の部位で明らかな免疫反応が存在することを明らかにした。3。発現蛋白のATPase活性を放射性alpha-ATPを使用して測定し、発現蛋白における酵素活性の存在を示した。以上より、HCVのNS3がウイルスの複製およびウイルス感染によって生じる肝炎の進展に関与することが示唆された。
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Research Products
(1 results)