1993 Fiscal Year Annual Research Report
人好酸球脱顆粒機構の分子生物学的および電気生理学的解明
Project/Area Number |
04670454
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 弦 東北大学, 医学部, 助手 (70188431)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 広平 東北大学, 医学部, 助手 (20200579)
角田 康典 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (80142933)
|
Keywords | 好酸球 / 気管支喘息 / 脱顆粒 / カルシウムイオン / G蛋白 |
Research Abstract |
人好酸球の細胞内Ca^<2+>上昇機構を解析した。すなわち静脈血より得られた白血球画分にPercoll非連続密度勾配法を用い、好酸球を平均95%に分画精製し、本研究に用いた。得られた好酸球にCa^<2+>濃度蛍光検出試薬であるFura-2AMを負荷し、血小板活性化因子(PAF)に対する細胞内Ca^<2+>濃度変化を検討した。すなわち倒立顕微鏡を用いて単一好酸球の像を2700倍に拡大してTV画面上に描出した。細胞内Ca^<2+>濃度測定に際しては、試料に二波長の紫外線を照射し、得られた蛍光を各画像素子毎にdigital変換してcomputerに入力し、その蛍光強度比を計算した。そして、その強度比より計算式を用いて細胞内Ca^<2+>濃度を計算した。刺激前の好酸球の細胞内Ca^<2+>濃度は、およそ80nMであった。PAF刺激により細胞内Ca^<2+>濃度は4-6秒で上昇を開始し、8-10秒で最大となった。その後細胞内Ca^<2+>濃度は初期には急激に、その後ゆっくりと減少した。PAFによるこの反応は、PAFの特異的受容体阻害剤であるWEB2086適用により著明に抑制されたので、この細胞内Ca^<2+>濃度の上昇はPAF受容体を介する特異的な反応であることが確認された。次に、PAFの濃度を変えて細胞内Ca^<2+>濃度の変化を検討した。その結果、明らかなCa^<2+>濃度の変化はPAF1nMから100nMで認められた。その最大の反応は、PAF10nMで認められ、その反応は、およそ600-700nMの細胞内Ca^<2+>濃度の変化を示した。次にPAF刺激に伴うInositol(1,4,5)trisphosphate(IP_3)の産生を測定した。その結果IP_3は刺激前5pM/1,5x10^5cellsよりPAF刺激後5秒で21pM/1.5x10^5cellsへと明らかに上昇していた。以上の結果より人好酸球においては、PAF刺激によりIP_3の生成を伴う最大値600-700nMの細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が起こり、これにより好酸球の顆粒放出機構の活性化が生ずることが推測された。
|
-
[Publications] Toshiya Aizawa: "Induction of granule release by intracellular application of calcium and guanosine-5'-o-(3-thiotriphosphate)in human eosinophils." J.Allergy Clin.Immunol.90. 789-795 (1992)
-
[Publications] Nobuhiro Maruyama: "Quinine inhibits production of tumor necrosis factor-α from human alveolar macrophages." Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.(in press). (1994)