1993 Fiscal Year Annual Research Report
主体顕微鏡による低酸素性肺血管攣縮発生時の肺毛細血管血流動態の観察
Project/Area Number |
04670461
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岡田 修 千葉大学, 医学部, 助手 (60177045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 康秀 千葉大学, 医学部, 助手 (40220686)
加藤 邦彦 千葉大学, 医学部, 助手 (00204462)
栗山 喬之 千葉大学, 医学部, 教授 (20009723)
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Keywords | 肺微小循環 / 生体顕微鏡 / 低酸素性肺血管攣縮 / 摘出分離潅流肺 / 肺毛細血管 / 肺循環 / 肺血管伸展度 |
Research Abstract |
前年度までの研究成績から、毛細血管レベルにおける血流パターンは、毛細血管セグメント(Segment:Seg)の長さや内径といった、形態学的要因により規定される血流抵抗によって大きく影響されることが示唆された。そこで今年度は、毛細血管レベルの血流パターンが時間経過とともに変化するものかどうかを、生犬および摘出潅流肺モデルで観察を行なった。さらに、毛細血管と同時に観察される直径30〜70μmの肺細小動静脈レベルでの血管伸展度の測定も試みた。生犬を用いた実験において、毛細血管レベルでの血流パターンは時間経過とともに変動が認められ、40分間の観察時間で常に血流の見られたSegは全体の約40%であり、この変動率は肺動脈圧や肺血流量の変化では説明困難であった。また摘出潅流肺において、その潅流圧および潅流量を可能な限り一定にした場合でも、毛細血管の血流パターンには変動が認められたことからも、こうした血流パターンを規定する因子としては、圧・流量などの物理学的要因以外に何らかの機序が存在する可能性が示唆された。しかしながらSegの約50%では、9回の観察期間のうち8回以上で常に血流が認められたことから、各Seg毎に血液の流れ易さに差があるものと考えられた。次に摘出潅流肺を用いた肺微小血管レベルにおける血管伸展度の実験では、直径100μm以下の肺細小動静脈レベルにおいても、その血流イメージの画像をコンピューター処理することにより、血管内径を精度よく測定することができ、その内圧との関係から血管伸展度の評価を行なうことが可能となった。その結果、直径30〜70μmの肺細小動脈と肺細小静脈との間には、血管伸展度を表わす各示標に有意差は認められず、かつこれまでの直径100μm以上の肺血管レベルにおける伸展度の実測値とも近似した値を示していた。今回の成績は、肺微小循環での血流動態を理解する上で、極めて有用な情報となりうるものと考えられた。
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[Publications] Osamu Okada: "Temporal capillary perfusion patterns in single alveolav walls of intact dogs" J.Appl.Physiol.76. 380-386 (1994)
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[Publications] 岡田 修: "肺微小血管レベルにおける血管伸展度の測定" 臨床呼吸生理. 25. 179-186 (1993)
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[Publications] Simon C.Hillier: "Direct measurement of pulmonary micro vascular distensibility" J.Appl.Physiol.75. 2106-2111 (1993)