1992 Fiscal Year Annual Research Report
肺線維症に関与するサイトカインの同定ー免疫学的および分子生物学的アプローチ
Project/Area Number |
04670477
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大田 健 帝京大学, 医学部, 助教授 (30160500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 和人 帝京大学, 医学部, 助手
川島 隆二 帝京大学, 医学部, 助手
野本 日出男 帝京大学, 医学部, 助手
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Keywords | 肺線維症 / 線維芽細胞 / サイトカイン / 抗PDGF抗体 / 抗IL-6抗体 / hydroxy proline(HOP)量 / 気管支肺胞洗浄(BAL) / シリカビーズ |
Research Abstract |
肺線維症は、種々の間質性肺病変の終末像であり、間質性疾患における予後を大きく左右する重要な病態である。本研究の目的は、線維化の基本的現象である肺局所の炎症反応と線維芽細胞の増殖に的を絞り、炎症細胞および線維芽細胞にin vitroで刺激作用を持つ各種サイトカインについて、in vivoでの意義付けを確立することである。マウスC57B1/6に、シリカビーズを点鼻して間質性肺炎を惹起する系で検討を加えた。Perfusion pumpは、点鼻する1日前に、抗PDGF抗体および抗IL-6抗体各300μgを入れて、皮下に手術により埋め込むんだ。そして、シリカ点鼻後14日目と28日目に肺線維症の評価を定圧固定(10cm水柱)された肺組織の病理とhydroxy proline(HOP)量の比較により行なった。また気管支肺胞洗浄(BAL)を施行して、その細胞成分について、細胞分画を検討した。まず、最初の実験群では、従来のシリカビーズを使用したにもかかわらず、シリカのみの陽性対象群での病変が不揃いであった。そのため、病理像による比較検討は、困難であったが、HOPの測定値は、抗PDGF抗体の実験群で、陽性対象群(シリカ点鼻のみ)27.4μg/mlに対して抗体投与群は、14日目18.8、28日目13.3μg/mlと抑制傾向が見られ、また、抗IL-6の実験群で、陽性対象群70.3μg/mlに対して抗体投与群は、14日目55.1、28日目56.6μg/mlと低下傾向がみられた。シリカ点鼻陽性対象群の病理学的所見が、安定するようにシリカビーズを検討し、標準シリカ(JAWE451)を選択して以後の実験に用いた。現在そのシリカによる抗PDGFと抗IL-6での結果は、BALのみであるが、抗PDGFを加えた群で、総細胞数の低下と%好中球低下がみられ、抗IL-6を加えた群で、%マクロファージの低下と%リンパ球・%好中球の増加を認めている。病理後、HOP量の測定により、まもなくその意味付けが、明らかとなる予定である。他のサイトカインについても検討中である。
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