1993 Fiscal Year Annual Research Report
肺線維症に関与するサイトカインの同定一免疫学的および分子生物学的アプローチ
Project/Area Number |
04670477
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大田 健 帝京大学, 医学部, 助教授 (30160500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 幹夫 帝京大学, 医学部, 助手 (10256034)
山田 和人 帝京大学, 医学部, 助手 (40240006)
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Keywords | 肺線維症 / マウス / 中和抗体 / シリカビーズ / PDGF / IL-8 / IL-6 / hydroxyproline(HOP) |
Research Abstract |
肺線維症は、種々の間質性肺疾患の予後を大きく左右する重要な病態である。本研究では、肺の線維化の基本的現象である肺局所の炎症と線維芽細胞の増殖に的を絞り、炎症細胞および線維芽細胞にin vitroで刺激作用を持つ各種サイトカインについて、in vivoでの意義付けを確立することを目的に実験を施行している。現在まで得られた結果をまとめると、以下のようになる。 1)C57B1/6マウスに標準シリカ(JAWE451)を経気道投与することによりhydroxyproline(HOP)の増加を伴う間質性肺炎が惹起された。 2)Perfusion pumpにPDGF(platelet derived growth factor),IL-6,IL-8の各種サイトカインに対する中和抗体を入れてマウスに投与し、シリカによる病変の影響を検討したところ、【.encircled1.】抗PDGFおよび抗IL-8を投与した群については、病理所見上シリカによる病変の明らかな軽減を認め、抗体IL-6を投与した群では変化がみられなかった、【.encircled2.】抗PDGFおよび抗IL-8を投与した群では、シリカ単独投与群に比べHOPが有意に低下し(42.2および40.1vs57.6;p<0.05)、抗IL-6では有意差を認めなかった(66.9 vs 57.6)、【.encircled3.】抗ラットIgGでは病理、HOP共に有意な変化を認めなかった、という結果が得られた。 以上の結果は、これまでin vitroでの生物学的活性から、間質性肺炎と肺の線維化に重要であろうと予測されてきたPDGF,IL-8という2つのサイトカインが、in vivoで実際に重要な役割を演じていることを示唆している。また一方で、炎症性サイトカインの代表であるIL-6が、少なくとも我々のシリカの間質性肺炎モデルでは、必須とは考えられない結果を得た。今回検討したサイトカインについて、その役割をin vivoで示した報告は未だみられておらず、本研究で得られた結果は、重要な知見であると考えられる。
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