1992 Fiscal Year Annual Research Report
HAMの発症機序に関する剖検例・HTLV-I持続感染サルを用いた神経病理学的研究
Project/Area Number |
04670494
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
出雲 周二 鹿児島大学, 医学部, 講師 (30143811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野元 正弘 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (50208401)
納 光弘 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10041435)
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Keywords | HTLV-I / HAM / 動物モデル / 神経病理 / Immunohistochemistry / 発症機序 |
Research Abstract |
HAMの5剖検例の神経病理学的検索を進め、その基本像は全例でよく一致していた。慢性炎症性病変で、病変分布が臨床像と合致して胸髄中〜下部を中心に広がっており、血流の停滞しやすい部に強調されていることが確認された。さらに、新鮮凍結標本を用いて免疫組織学的に慢潤炎症細胞の動態を検索し、浸潤細胞はT細胞が主体で、新しい病変部ではCD4,CD8陽性細胞の両者が、進行した病変部では浸潤細胞数そのものが著減しており、そのサブセットはCD8陽性細胞が主体であることを定量的に明らかにした。すなわち、脊髄に起こっているTリンパ球とマクロファージの浸潤を主体とする慢性炎症は臨床経過が長くなるにつれCD4陽性T細胞の比率が著しく減少し、CD8陽性T細胞主体となるとともに終息する傾向を示すことが明かとなった。さらに、一部の浸潤細胞、ミクログリア、血管内皮細胞はHLA-ABC、HLA-DRを表出していること、NK細胞、IL-2R陽性細胞は非常に少ないことが明かとなった。HAMの病状の推移はこれまでのレトロスペクティブな検討で緩徐に数十年にわたって進行することが推定されていたが、今回の剖検例の神経病理学的検索にて、時間の経過とともに病勢が終息する傾向にあることが推定された。どのような機序がこの病勢の推移に関与しているのか、T細胞に加え、HTLV-I、各種サイトカインの病巣内での動態に注目して検索を進めたい。 動物モデルはHAM患者脊髄液より分離のHTLV-I感染T細胞株とマーモゼット末梢血と混合培養により確立したマーモゼットの感染T細胞を静注し、HTLV-I持続感染モデルが得られた。allo-の細胞の大量投与による大量輸血モデルの試みもスタートし観察中であるが、神経所見を呈するものは得られていない。この持続感染モデルを用いて、生体内でのHTLV-Iに関与しての免疫学的動態について検討を進めている。
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[Publications] Izumo S.,Ijich T.,Higuchi I.et al.: "Neuropathology of HTLV-I associated myelopathy.--A report to two autpsy cases--" Acta Paediatr.Jpn.34. 358-364 (1992)
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[Publications] Ohara Y.,Iwasaki Y.,Izumo S.et al.: "Search for human T-cell leukemia birus type I(HTLV-I)proviral sequences by polymerase chain reaction in the central nervous system tissue of HTLV-I associated myelopathy" Arch.Virol.124. 31-43 (1992)
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[Publications] 出雲 周二: "HAMとAIDSの神経免疫病変" CLINICAL NEUROSCIENCE. 10. 686-689 (1992)
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[Publications] 未原 雅人,出雲 周二,熊本 一朗,納 光弘: "HAM患者髄液における抗HTLV-I抗体の意義-recombinant Gag-Env hibnd proteinを用いたELISA法とparticle agglutination法の比較検討-" 臨床病理. 40. 311-316 (1992)
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[Publications] Sonda S.,Yashiki S.,Fujiyoshi T.et al.: "Immunogenetic factors involved inthe pathogenesis of adult T-cell leukemia and HTLV-I-associated myelopathy.Gann Monograph on Cancer Research." Japan Scientific Societies press., 261 (1992)