1992 Fiscal Year Annual Research Report
グリア細胞成長因子のラットアストロサイト分化誘導機構
Project/Area Number |
04670495
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊藤 仁一 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (60167260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 亮 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (90094383)
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Keywords | 細胞分化 / グリア細胞成長因子 / アストロサイト / マイクロフィラメント / グリアフィラメント / α-シアロシルコレステロール |
Research Abstract |
脳内で産生されるグリア細胞成長因子(GMF)はアストロサイトに特異的に作用するサイトカインで、その増殖と分化を促進する。GMFにより、増殖後分化して成熟した形態を獲得していく過程で、アストロサイトの細胞骨格は著しい構造変化を伴う。細胞骨格の構造変化はアストロサイトの分化において重要な要素であると考えられ、本研究では分化型アストロサイトとコントロール細胞の細胞骨格の特性を比較検討することを目的として、細胞骨格主要成分であるマイクロフィラメントとグリアフィラメントをそれぞれ特異的に脱重合抽出し、再構成系においてそれらの特性を検討した。 アストロサイトより脱重合抽出されたマイクロフィラメント画分(MF)とグリアフィラメント画分(GF)は100mM Kclと10mM Mgcl_2あるいは150mM Naclと10mM Mgcl_2により重合し、それぞれマイクロフィラメント様フィラメントとグリアフィラメント様フィラメントを形成した。合成糖脂質であるα-シアロシルコレステロール(α-SC)により、MFとGFの重合は共に抑制され、これらフィラメントの主要構成タンパク質であるアクチンとビメンチンの重合もα-SCにより抑制された。これらの知見により、少なくともα-SCはアクチンとビメンチンに作用してMFとGFの重合を抑制するものと考えられた。α-SCで重合抑制されたGFは、α-SCで前処理されたMFにより著しく重合が促進された。MFは非重合状態においてGF重合促進作用が顕著であることから、MF構成タンパク質が遊離状態においてGFの重合を促進することが示唆された。α-SC存在下においてアクチンはビメンチンの重合を促進したことからMFとGFの相互作用はフィラメント関連タンパク質によって介されるのではなく、アクチンとビメンチンとの直接の結合を介したものであることが示唆された。
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Research Products
(1 results)