1992 Fiscal Year Annual Research Report
クモ膜下出血発症の早期予知に関する臨床研究ー新しい血液凝固線溶系マーカーによる脳動脈瘤の破綻前評価ー
Project/Area Number |
04670499
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
永山 正雄 東海大学, 医学部, 助手 (80208058)
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Keywords | クモ膜下出血 / 脳動脈瘤 / 凝固線溶系 / 発症予知 / 血栓準備状態 |
Research Abstract |
脳動脈瘤の存在はその破綻によるクモ膜下出血によりはじめて知られ、破綻前に検出しえた例ははるかに少ない。本研究はクモ膜下出血発症の予知に有用な臨床的指標を明らかにする事を目的としたprospective studyであり、従ってその成果の結実には相応の期間が必要であるが、ここでは平成4年度中に得られた成果について述べる。 1.平成4年度中に男4例、女9例、計13例(年齢;60±12歳)の未破綻脳動脈瘤例を検出評価し下記の結果をえた。 2.部位(多発例を含む);内頸動脈IC 12例(IC-PC 5例,IC海綿静脈洞部 3例,IC-眼動脈 2例,頭蓋外IC 1例)、Basilar top 2例、中大脳動脈(M_<1/2>)1例、後大脳動脈分枝 1例 3.内径(最大径、偶発発見例を除く);<5mm 2例、5〜9mm 2例、10〜14mm 1例、15〜19mm 2例、20mm≦1例 4.形状;嚢状 11例、紡鐘状 1例、解離性 1例 5.瘤内血栓合併;MRI施行5例中1例 6.破綻前発見の契機;症候出現 8例(動眼神経麻痺 4例,痴呆・記銘力障害 3例,aneurysmal embolism 1例)、偶発的 3例(脳出血で入院時,動脈瘤手術後経過観察のための脳血管撮影時,他部位脳動脈瘤発綻で入院時) 7.凝固系(以下血中レベル);トロンビンーATIII複合体:2.9±1.2ng/ml(健常対照1.8±0.4)、ATIII活性:113±19%(106±19)、protein C活性:125±29%(109±25)、free protein S:8.6±2.0μg/ml(9.0±1.1) 8.線溶系;plasmin-α_2PI複合体:0.7±0.3μg/ml(0.5±0.3)、D-dimer:118±48ng/ml(57±36)、plasminogen活性:95±13%(92±17)、t-PA抗原量:3.9±1.3ng/ml(3.3±1.0)、PAI-1抗原量:58±43ng/ml(40±27) 9.Lp(a);33.4±25.3mg/dl(10.0±7.5) 10.未破綻脳動脈瘤例につき、特に痴呆・記銘力障害が初発症候となりうる事、凝固系活性化所見、血中Lp(a)レベル高値を伴う事を明かとした。今後症例数を増やすとともに臨床像、因子間相互関係につき検討し脳動脈瘤の破綻前診断に有用な指標を明らかにしたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 高橋 若生: "多発梗塞性痴呆およびアルツハイマー型痴呆における脳血流量の検討" 脳卒中. 14. 166-171 (1992)
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[Publications] 永山 富子: "先天性プラスミノーゲン異常症の分子遺伝学的解析と臨床的意義に関する研究" 脳卒中. 14. 395-401 (1992)
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[Publications] 山口 壮: "反復性全身多発性血栓症に伴ない脳静脈血栓症を呈した抗リン脂質抗体症候群の一症例" CI研究. 15. (1993)
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[Publications] 永山 正雄: "血液凝固線溶系異常にみられる神経症候" 診断と治療. 81. (1993)
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[Publications] Shigeharu Takagi: "Disturbance in Cerebrovascular CO_2 Reactivity in Multi-Infarct Dementia" J.Stroke Cerebrovasc Dis. 2. 237-239 (1992)
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[Publications] 永山 正雄: "凝固異常に伴う脳血管障害" 内科. 70. (1993)