1992 Fiscal Year Annual Research Report
単純ヘルペス脳炎における抗原抗体複合体による化学発光を用いた髄液内抗原診断
Project/Area Number |
04670501
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
亀井 聡 日本大学, 医学部, 助手 (40142509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 一史 日本大学, 医学部, 助教授 (50004677)
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Keywords | 単純ヘルペス脳炎 / 化学発光 / 早期診断法 / 髄液 / 抗原検出法 |
Research Abstract |
【目的】単純ヘルペス脳炎(HSVE)の髄液を正常顆粒球に加えた時の化学発光について抗HSV抗体を付加した場合の変化を測定し髄液内HSV抗原を検出することにより,本法の早期診断法としての有用性を検討した。 【方法/対象】方法:髄液,luminol含有Medium_2血漿および正常健常人から分離した顆粒球浮遊液を抗HSV抗体を含まないassay系Aとし,抗HSV抗体を付加したassay系Bとして各検体の両assay系での化学発光量をluminescencereaderにて測定し,抗HSV抗体付加による化学発光量の変化をB値/A値比で定量化した。対象:(I)群:髄液の抗HSV抗体の経時的上昇または髄液内抗HSV抗体産生を認め,血清学的に診断したHSVE6症例,10髄液検体,(II)群:臨床上HSVEと鑑別を要した非HSVE疾患(結核性髄膜炎,真菌性髄膜炎,急性散在性脳脊髄炎,SLE脳症,風疹脳炎,脳炎を伴った帯状疱疹の全身感染症)の11髄液検体,(III)群:非感染性神経疾患患者(片頭痛,緊張性頭痛,脳梗塞,筋萎縮性側索硬化症,てんかん)の10髄液検体の3群を設定して測定を行なった。 【結果】HSVE群では6症例全例でB/A比が1.4以上を呈した。これらの陽性検体は第5〜38病日に採取した髄液であった。特に第5,6病日で陽性を得たことは、本症の早期診断上,本方法が有用であることを示していると考えた。一方,非HSVE群(IIとIII群)では、全例B/A比は1.0〜0.8であり陰性であった。この結果を基に測定したB/A比の分布をまとめ,三群間の群間差を統計学的に検討した。(I)群と(II)群におけるB/A比が1.3以上と陽性を呈した頻度の相異は,危険率1%以下で統計学的に有意であった(Fisher検定)。更に本法のHSVEにおける特異性は100%であり,また感度も100%であった。 【結語】本方法は、HSVEの非侵襲的な早期診断法として有用であった。
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