1993 Fiscal Year Annual Research Report
小脳変性関連遺伝子の培養細胞における発現調節と組換え蛋白を用いた動物モデルの開発
Project/Area Number |
04670503
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
酒井 宏一郎 金沢医科大学, 医学部, 講師 (70225754)
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Keywords | 小脳変性 / 抗神経細胞抗体 / 自己免疫 / cDNAクローニング / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
1.昨年度までの本研究により、旁腫瘍性小脳変性症(PCD)に関連する小脳蛋白PCD17のcDNAから大量かつ純度の高いPCD関連蛋白を組換え体蛋白として得ることが可能となった。PCD疾患の実験動物モデルを作製する目的で、このPCD17組換え体蛋白を種々の系統のマウスに対し感作を試みた。用いたマウスは組織適合抗原が異なる、Balb/c(H-2^d),C3H/HeJ(H-2^k),AKR/J(H-2^a),C57Bl/10(H-2^b),SJL/J(H-2^s)の5系統を用い、大腸菌に発現させたPCD17蛋白をSDS-PAGEにより分離した後、相当するゲル断片を感作抗原としてFreundのadjuvantと共に繰り返し免疫した。感作したマウスより定期的に尾静脈より採血し、PCD17抗原に対する対体の存在についてWesternblotting法およびELISA法により測定した。その結果、各系統共に程度の差は認められたものの抗PCD17抗体の産生が確認された。これらの抗体が非特異的なものではないことは、免疫組織化学により小脳Purkinje細胞で抗Yo抗体/Typel抗体に特徴的な染色パターンを示したことから確認した。マウス血清中における抗PCD17抗体は、PCD患者のTypel/抗Yo抗体に比べてもさらに高い抗体価を示していた。感作したマウスについて小脳失調症状を含めた臨床経過の観察を開始した。 2.肺小細胞癌に伴なう旁腫瘍性辺縁系脳炎(PLE)について、患者にみられた抗神経細胞核抗体(抗Hu抗体/Typell抗体)をプローブとして、この抗体が認識する神経細胞抗原についてヒト海馬cDNAlibraryからcDNAcloningを試みた。得られたcDNAクローンは、1991塩基対からなり、その中に52kdの蛋白抗原をコードするopenreading frameを含んでいた。このクローンはこれまでに抗Hu抗体が認識する小脳抗原として報告されているHuD抗原とは類似しているものの、明らかに異なる蛋白であった。 3.PCD17cDNAをsense及びantisenseの方向にbetaactinpromoterを有するpHbeta-AP gamma-1-neovectorに組み換え、ラット由来PC12細胞、マウス由来NIH3T3細胞に対しリポフェクチン法による遺伝子導入を試みた。細胞がG418により選択し、クローニングを限界希釈法により繰り返し細胞クローンを幾つか得た。得られた細胞の変化について検討を開始した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Sakai et al.: "A hippocampal protein associated with paraneoplastic neurologic syndrome and small cell lung carcinoma" Biochem.Biophys.Res.Commun.(In press).
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[Publications] K.sakai et al.: "Analysis of autoantibody binding to a 52 kd paraneo-Plastic cerebellar degeneration-associated antigen." Ann.Neurol.33. 373-380 (1993)