1992 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系における病態発症におけるミクログリアの役割
Project/Area Number |
04670504
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
錫村 明生 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (50196896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 誠 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助手 (10187297)
山本 〓子 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (20148258)
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Keywords | ミクログリア / アストロサイト / サイトカイン / サイトカインネットワーク / HIV / CD4 |
Research Abstract |
我々はグリア細胞の一つであるミクログリアが周産期に脳内へ移行した単球系細胞であり、マクロファージと近似する特性をもつことを示し、この細胞が中枢神経系の病態発症に重要な働きをする可能性を示して来た。またミクログリアはアストロサイトとともに免疫系と同様のサイトカインを産生し、神経ー免疫相互作用にも重要な働きをしている。本年度はミクログリアとアストロサイトのサイトカイン産生の差異を検討し、IL-1とTNFがアストロサイトにはIL-6産生を誘導するが、ミクログリアには作用しないこと、リポ多糖(LPS)は両者にIL-6産生を誘導するが、ミクログリアの方が迅速に反応することを示した。ミクログリアが遊送能をもつこと、IL-1、TNFを産生することを考えあわせると、脳のサイトカインネットワークを作動させる最も重要な細胞がミクログリアである可能性が示唆される。さらに、ミクログリアとアストロサイトがIL-5を産生すること(投稿中)、IL-4は産生しないがミクログリアにIL-4レセプターが存在することも判明した。IL-4容量依存性にミクログリアを増殖させ、これは抗IL-4レセプター抗体により抑制された。IL-4のこの増殖促進効果はGM-CSFやM-CSFと協調的に働き、炎症その他でミクログリアの増殖する病態の機序に関与していると考えられた。さらに多くのサイトカインが脳内で産生され、より複雑なサイトカインネットワークが形成されていることが推測された。この他、ミクログリアはHIV感染の脳内での標的と考えられているが、今回、ミクログリアがHIVの受容体となるCD4を表現していること、およびある種の免疫抑制剤がこのCD4の表現を抑制することをつきとめた。今後HIVの中枢内での病態発症機序やその治療に関する研究に有用な実験系であると考えられる。
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[Publications] 錫村 明生: "サイトカインと脳の成長" 実験医学. 10. 1471-1476 (1992)
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[Publications] Suzumura,A.et al.: "Effects of microglia-derived cytokines on astrocyte proliferation." Restorative Neurol.and Neurosci.(1993)
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[Publications] SaWada,M.,Suzumura,A.et al.: "TNF alpha induces IL-6 production by astrocytes but not by microglia." Brain Research. 583. 296-299 (1992)
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[Publications] Sawada,M.,Suzumura,A.et al.: "Induction of cytokines in glial cells by trans activator of human T-cell lymphotropic virus type 1." FEBS Letter. 313. 47-50 (1992)
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[Publications] Sawada,M.,Suzumura,A.et al.: "Down regulation of CD4 expression in cultured microglia by immunosuppressants and LPS." Biochem.Biophys.Res.Comm.189. 869-876 (1992)
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[Publications] Ohtani,K.,Suzumura,A.et al.: "Establishment of mouse oligodendrocyte/type 2 astrocyte lineage cell line by transfection with origine-defective SV40 DNA." Cell Structure and Function. 17. 325-333 (1992)