神経系単純ヘルペス感染症患者髄液からのPCRによる1,2型解析

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 04670505
• Research Institution: Kurume University
• Principal Investigator: 庄司 紘史 久留米大学, 医学部, 教授 (90122621)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 本藤 良 国立公衆衛生院, 微生物, 室長 (20114639) ; 綾部 光芳 久留米大学, 医学部, 助手 (40232003)
• Keywords: 単純ヘルペス感染 / 髄液 / PCR

Research Abstract

Herpes simplex virus(HSV)神経感染症においては、脳炎はHSV1型、脊髄炎・髄膜炎は2型によるとされる。従来、これらの診断は主として髄液抗体価の検索から推定されているにすぎない。しかし、compromised hostや小児例などでのHSV1,2型の区別は明瞭ではない。最近、導入されたpolymerase chain reaction (PCR)による髄液からのHSV DNA検査は陽性率の高いことが注目されている。さらに、本研究ではHSV1,2型共通DNA片を増幅させ、1,2型のプローベを用いて、hybridizationさせ型同定を行い、HSV脳炎・髄膜炎など神経系感染症における1、2型の役割を明らかにする。
17症例の脳炎・髄膜炎の髄液からPCR増幅DNA片の峻厳hybridizationによるHSV1、2型同定を実施した。10例から検出され、HSV1型6例と2型4例同定された。脳幹脳炎1例と髄膜炎2例ではHSV1型であった。逆に、急性成人型脳炎1例においてHSV2型が同定された。急性辺縁系脳炎の3例ではいずれも陰性であった。我々の研究はHSV神経感染症の病態、型識別に有用と結論づけられる。

Research Products

• [Publications] Inouye S & Hondo R: "Type differentiation of HSV by hybridization of PCR products" Archives of Virology. 129. 311 (1993)
• [Publications] 綾部,光芳・音成,龍司ほか: "ヘルペス脳炎後遺症患者における事象関連電位(P300)" Therapeatic Research. 14. 68-71 (1993)
• [Publications] 庄司,紘史・古賀,正哉ほか: "単純ヘルペス脳炎" 臨床と研究. 70. 2407-2410 (1993)
• [Publications] Shoji H,Koga M et al: "Differentiation of HSV types 1 and 2 in CSF of patien'ts with HSV encephalitis and meningitis by hybridization of PCR product." Journal of Neurology. in press. (1994)
• [Publications] 庄司,紘史: "柳澤信夫編 神経疾患の臨床-今日の論点" 単純ヘルペス脳炎の経過はacyclovin治療でどう変わるか?, 5 (1993)