1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670510
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
櫻田 恵右 北海道大学, 医学部, 講師 (80002161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松野 一彦 北海道大学, 医学部, 助教授 (70102332)
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Keywords | ナトリウム / カルシウム / 血小板 / 高血圧 / SBFI |
Research Abstract |
今回の研究では、まず蛍光色素Sodium-binding benzofuran isophthalate(SBFI)を用いた血小板の細胞質遊離ナトリウムイオン濃度([Na^+]i)の測定法を確立した。しかしこれには(1)SBFIの細胞内負荷法、(2)SBFIの細胞内負荷による血小板機能阻害、(3)キャリブレーション法、(4)Kd値が低いため高い[Na^+]iの測定が因難などの問題点があり、今後さらに改良の余地があるものと考えた。 今回の測定法による健常人の未刺激血小板の[Na^+]iは33.6±12.6mMであり、トロンビンで刺激すると80mM以上となった。このトロンビン刺激後の[Na^+]iの増加は、主として細胞外から流入によると考えられ、Na^+/H^+ exchangeおよびCa^<2+>流入と共通の経路を介していることが推定された。またNa^+/K^+-ATPaseのインヒビターであるouabainを添加することにより[Na^+]iは増加し、これによりトロンビン刺激による[Ca^<2+>]iの増加および血小板凝集が促進された。 15例の未治療の本態性高血圧症患者(EHT)の未刺激血小板の[Na^+]iは40.2±9.1mMで、健常人コントロールの34.2±6.3mMに比べ有意に高値であった。また[Ca^<2+>]iもEHTで92.6±16.9nMとコントロールの76.9±12.3nMに比較し有意に高値であった。EHTのトロンビン刺激後の[Na^+]iはコントロールと比ベ明らかな差はみられなかったが、[Ca^<2+>]iはコントロールに比ベ有意に亢進していた。またEHT群の血小板のトロンビン凝集は亢進しており、[Na^+]iとの間に相関はみられなかったが、[Ca^<2+>]iとの間には有意な正の相関関係が認められた。 本態性高血圧症患者では[Na^+]iが高値をとり、このためNa^+/Ca^<2+> exchange機構が抑制されて[Ca^<2+>]iの高値を来たし、血小板の活性化が亢進する可能性が推定された。
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[Publications] Matsuno,K. et al.: "Cytosolic free magnesium concentration in human platelets." Thrombosis Research. 69. 131-137 (1993)
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[Publications] 松野一彦,他: "血小板の細胞内ナトリウムイオン濃度" 検査と技術. 20. 936-937 (1992)
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[Publications] 対馬千秋,松野一彦,他: "ヒト血小板の細胞質遊離ナトリウムイオン濃度測定の試み" 現代医療. 25. 1906-1908 (1993)
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[Publications] 松野一彦,他: "螢光インジケーターSBFIを用いた血小板の細胞質遊離ナトリウムイオン濃度測定" 日本血栓止血学会雑誌. 5(未定). (1994)
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[Publications] 松野一彦: "「血小板輸血の展望」血小板活性化における細胞内イオンの変化" エフ・コピント・富士書院(関口定美編集), 363 (1993)