1992 Fiscal Year Annual Research Report
新しいキニン分解酵素NEPの,腎機能ならびに血圧に対する役割
Project/Area Number |
04670548
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
中川 基哉 札幌医科大学, 医学部第2内科, 助手 (40207741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦 信行 札幌医科大学, 医学部第2内科, 講師 (20185078)
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Keywords | kidney / kallikrein / kinin / kininase / endopeptidase / hypertension |
Research Abstract |
Kininは血管拡張作用、Na利尿作用を有する局所ホルモンである。従来、腎には複数のkinin分解酵素の存在が知られていたが、近年、共同研究者の浦は、neutral endopeptidase24.11(NEP)がその主体をなすことを明らかにした。本年度は、ペントバルビタール麻酔下のSprague-Dawley正常血圧ラットを用いてNEP阻害の効果を調べ、腎NEP、ならびに腎kininの腎機能に与える役割を検討した。 1.NEP阻害剤のUK73967(10mg/kg,iv)の投与により、尿中NEP、総kininaseの有意な減少と、尿中kinin、尿量、尿中Na排泄量の有意な増加を認めた。また、UK73967投与後のNEP、総kininaseはvehicle投与の対照群のそれらに比して有意に小で、尿中kinin、尿量、尿中Na排泄量は有意に大であった。 2.同様の実験系を用いてUK73967に加えてkininの拮抗剤であるHoe140を同時投与すると、UK73967単独投与の際に見られた尿量、尿中Na排泄量の増加は消失し、対照群との差も消失した。 3.Hoe140の単独投与では前記諸量に有意な変動は認めなかった。 4.対照群、UK73967投与群、UK73967+Hoe140投与群において、実験終了時に測定した血漿ANP濃度は、3群間に差を認めなかった。 以上のことから、少なくとも正常血圧ラットにおけるNEP阻害の際の水・Na排泄の促進にANPの関与は少なく、NEPの水・Na代謝調節は、腎kinin代謝を介するものが主体をなすと考えられた。
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