1992 Fiscal Year Annual Research Report
致死的心室性不整脈におけるQT延長の意義とその成因に関する実験的研究
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04670552
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
上野 雄二 和歌山県立医科大学, 医学部循環器内科, 助教授 (50151824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星屋 博信 和歌山県立医科大学, 医学部循環器内科, 助手 (00244723)
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Keywords | 先天性QT延長症候群 / monophasic action potential / early after depolarization / ansae-subclabiae stimulation / Torsades de Pointes |
Research Abstract |
先天性QT延長症候群の成因を明らかにするために以下の検討を行った。 [臨床的検討]先天性QT延長症候群4例と洞機能不全症候群3例で、Control時およびIsoproterenol投与時にQT間隔およびmonophasic action potential(以下MAP)を記録した。先天性QT延長症候群ではControl時よりQTは延長し、全例にearly after depolarization(以下EAD)を認めた。また、Isoproterenol投与によりEADの増高を認め、その結果MAPdurationのばらつき(dispersion)は増大した。一方、洞機能不全症候群ではControl時にEADは認めず、Isoproterenol投与によってもEADの新たな出現はなかった。またMAP durationのばらつきはControl時とIsoproternol投与時で差はなかった。このことから、先天性QT延長症候群の成因に、EADが関与する可能性があると考えられた。 [実験的検討]8匹の雑種成犬にて右側心臓交感神経刺激(RAS)時、左側心臓交感神経刺激(LAS)時、および両側心臓交感神経刺(BAS)時にQT間隔や左室および右室のMAP測定した。その結果、RAS時、LAS時BAS時のいずれでもQT間隔およびMAP durationは短縮し、その程度はQT間隔よりもMAP durationの方が著明であった。LAS時およびBAS時のMAP durationの短縮はほぼ同等であり、右室よりも左室で著明であった。一方、RAS時のMAP duration短縮の程度は僅かであり、統計的有意差は認めなかったが、左室よりも右室で短縮する傾向があった。なお、交感神経刺激時にEADや心室頻拍(Torsades de Pointes)の出現は認めなかった。これらの変化はQT延長症候群での結果と異なっていた。以上より、心臓交神経刺激単独により交感神経不均衡はQT延長の成因とはなり得ないと考えられた。しかし、より確実な結論を得るために、交感神経ブロック時の検討が必要と考え、現在検討を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 友渕 佳明,上野 雄二 他: "急性大動脈解離の急性期治療に関する臨床的検討" 心臓. 25. 153-159 (1993)
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[Publications] Tsuda,K.,Ueno,Y.,et al.: "Membrane fluidity as a marker of hypertension" Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.19. 11-16 (1992)
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[Publications] 馬場 章,上野 雄二,他: "運動負荷^<201>Tl心筋SPECT24時間後像による心筋viability評価の有用性の検討" 心臓. 24. 101-102 (1992)
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[Publications] 上野 雄二,和中 佳生: "悪性高血圧" 日本臨床. 50. 459-465 (1992)
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[Publications] 星屋 博信,他: "急性心筋梗塞を併発し,冠動脈造影上血栓によると思われる不整な陰影欠損像を示した真性多血症の1例" 心臓. 23. 912-917 (1991)