1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670554
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小張 昌宏 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30162035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 保 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50138004)
棚橋 紀夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10124950)
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Keywords | 心停止 / 脳循環 / 脳血流量 / 脳血液含量 / 全脳虚血 / 反応性充血 / 遅発性低潅流 / 光電法 |
Research Abstract |
心停止時および蘇生後の脳循環動態は、臨床的に極めて重要な問題であるが、脳循環測定法上の方法論的な制約もあり、十分に検討されていない。我々は、独自に開発した脳組織血液含量の連続測定および数秒間隔で脳血流量の反復測定が可能な光電法を用い、心停止時および蘇生後の脳微小循環動態を検討した。 実験には猫を用いた。麻酔後、気管内挿管し、調節呼吸とした。全身動脈血圧を連続記録した。光電装置を頭頂部皮質直下に装着し、脳組織血液含量(CBV)を連続記録した。頸動脈より0.1mlのカーボンブラック溶液を適宜注入して脳組織希釈曲線を求め、血液平均通過時間(MTT)を計算した。またCBVとMTTより、脳血流量(CBF)を計算した。左第5肋間で開胸後、心室細動器を用い心臓を停止させた。心停止10秒、30秒、あるいは3分後に除細動器で心活動を再開さた、脳微小循環動態の変化を3時間後まで観察した。 10秒、30秒、3分の各心停止群において、心停止と同時にCBVの急激な減少を認め、心停止の期間中CBV減少は持続した。いずれの群でも、心蘇生と同時にCBVの著しい増加(反応性充血)を認めた。この際MTTも短縮し、CBVとMTTより計算されるCBFの著明な増加を認めた。反応性充血の持続時間および程度は心停止時間に依存し、長い群ほど反応性充血の持続時間も長かった。その後、CBVおよびCBFは正常化した。さらに3時間の観察期間中、30秒および3分心停止群ではCBFの減少(delayed hypoperfusion)を認めたが、10秒心停止群ではみられなかった。delayed hypoperfusionは、脳血管抵抗の上昇を伴い、胸虚血による脳血管内外の二次的変化に起因すると考えられた。また、心停止(完全脳虚血)10秒と30秒の間に、脳に不可逆変化を生じるか否かのcritical timeが存在すると考えられた。
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