1993 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠時無呼吸症候群における奇脈の出現とその臨床的意義に関する研究
Project/Area Number |
04670562
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
塩見 利明 愛知医科大学, 医学部, 講師 (40140032)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 正人 愛知医科大学, 医学部, 助手 (70238848)
|
Keywords | 睡眠時無呼吸 / 血圧 / 奇脈 / パルスオキシメトリー / 胸腔内圧 |
Research Abstract |
本年度の研究実績(平成5年4月〜平成6年3月)は以下のごとくで、本来の奇脈の出現に関する臨床的研究の総括を行うとともに、新たなテーマとしてパルスオキシメター(本科研費で購入)を用いた動脈血酸素飽和度(SaO_2)の24時間測定に関する研究が進展した。 I]奇脈の出現頻度とその臨床的意義に関する検討。 平成5年度、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われて来院した外来患者は74例で、うち35例が精査および治療目的で当院へ入院した。無呼吸の型は閉塞型32例、中枢型3例であった。本研究の主旨を十分に説明し、閉塞性SASの19(男17、女2、年齢20〜71歳)例から同意を得た。この19例について、昨年(平成4年度)と同様に、睡眠ポリグラフィ下に胸腔内圧(Pes)および連続血圧測定を施工した。結果:1)奇脈は、平成4年度21例中13例(62%)、本年度19例中13例(68%)、計40例中26例(65%)に観察された。2)奇脈の出現はobstructed inspiration中の著明なPes低下に一致した。3)奇脈の陽性群は陰性群に比べ、年齢が有意に若く、Pesが有意に低下した。4)適切な治療は呼吸の改善に伴いPesを正常化し、奇脈を消失させた。以上より、閉塞性SASにおける奇脈の出現は、過度なPesの低下(<-13cmH_2O)を示唆する所見として臨床的に意義があると結論された。 II]循環器疾患における24時間SaO_2変動に関する検討。 本科研費で購入したパルスオキシメターを用い、心不全患者の24時間SaO_2変動を検討した結果、心機能の悪化に従って夜間SaO_2低下の進行することが判明し、24時間SaO_2測定は新しい心機能評価法になる可能性が示唆された。 なお、平成5年度、本研究の要旨は、第90回日本内科学会総会(岡山)、第18回日本睡眠学会学術集会(シンポジウム、宇都宮)、等において学会発表した。
|
-
[Publications] 塩見利明、他5名: "睡眠時無呼吸中の血圧変動、特に奇脈の出現とその機序" Ther.Res.13. 131-134 (1992)
-
[Publications] 塩見利明、渡辺務: "睡眠リズムと循環器疾患" クリニカ. 19. 647-651 (1992)
-
[Publications] Shiomi,T,et al.: "Short-term variation in blood pressure during obstructire sleep apnea and the appearance of pulses paradoous" Ther.Res.13. 4027-4031 (1992)
-
[Publications] Shiowi,T,et al.: "Flom velocity paradoxus and pulsus paradoxus in obstractive sleep apnes syndroee" Chest. 103. 1629-1631 (1993)
-
[Publications] 塩見利明、小林正: "睡眠時無呼吸症候群の診断法とNCPAP治療" 医学のあゆみ. 166. 528-532 (1993)
-
[Publications] 塩見利明、他3名: "睡眠時無呼吸症候群" Modern Physician. 13. 1189-1192 (1993)
-
[Publications] 塩見利明,小林正: "Annual Review呼吸器1994(太田保世ら、編)" 中外医学社(東京), 1-7 (1994)