1992 Fiscal Year Annual Research Report
プロピオニルCoAカルボキシラーゼ欠損症(プロピオン酸血症)の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
04670575
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大浦 敏博 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (10176828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉 繁夫 東北大学, 医学部, 助手 (10205221)
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Keywords | プロピオン酸血症 / プロピオニルCoAカルボキシラーゼ |
Research Abstract |
1.諸言:プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(以下PCC)はα、β一つのサブユニットで構成されている。今回β鎖欠損患者及びその家族の解析を行いその変異を同定したので報告する。2.方法:まず患者細胞より抽出したPoly(A^+)RNAをcDNA化し、次にβサブユニットの全翻訳領域をPCR法を用いて増幅、サブクローニング後ジオキシターミネーション法にて塩基配列を決定した。ASOハイブリダイゼーションは17merの正常及び変異プローブを用いて行った。3.結果:40個のクローンの解析を行った。12個には57bpのin-frame欠失を認めた。26個のクローンのサイズは正常と同じであり、シークエンスの結果1283番のC→T変異が同定された。つぎに両親と兄のcDNAを鋳型とし、57bpの欠失を含む部位でPCRを行ったところ父親においてのみ患児と同様に欠失を持つPCR産物が認められ、この欠失は父親由来であることがわかった。正常及びC^<1283>→T変異をもつプローブを用いてASOハイブリダイゼーションを行ったところ変異プローブは患児と母親とのみハイブリダイズしこの変異は母親由来であることが確かめられた。兄はどちらの変異も受け継いではいなかった。4.考察:57bp in-frame欠失の結果19個のアミノ酸が欠失する。この変異はスプライシングの異常によりエクソンスキッピングを生じたものと考えられる。実際我々は下流のエクソン-イントロン接合部のコンセンサス領域に4塩基の欠失を検出している。他のアリルに認めた変異はC→T変異であり、その結果スレオニンからイソロイシンへとミノ酸置換を生じる。この変異は3名のβ鎖欠損患者においてもホモもしくはヘテロに存在しており、日本人に頻度の多い変異と予想される。5.展望:我々はαサブユニットのfull-length cDNAを獲得後α、β二つのサブユニットを同時にトランスフェクトして発現実験を行い、この変異の活性に対する影響を調べる予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 大浦 敏博 他: "日本人プロピオン酸血症患者(β鎖欠損)の遺伝子変異の検討" 日本先天代謝異常学会雑誌. 8. 109- (1992)
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[Publications] OHURA,T.et al: "Propionic acidemia:Sequence analysis of mutant mRNAs from Japanese β subunit-deficient patients." Journal of Inherited Metabolic Disease. 16. (1993)