1993 Fiscal Year Annual Research Report
プロピオニルCoAカルボキシラーゼ欠損症(プロピオン酸血症)の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
04670575
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大浦 敏博 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (10176828)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉 繁夫 東北大学, 医学部, 助手 (70211191)
|
Keywords | プロピオン酸血症 / プロピオニルCoAカルボキシラーゼ / エクソンスキッピング |
Research Abstract |
1、 始めに:プロピオン酸血症はプロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)欠損により引き起こされる有機酸代謝異常症である。PCCはα、β両鎖よりなるが、我々は昨年度より8例の日本人β鎖欠損患者の遺伝子変異の検討を行ない、すでに4例について変異を明らかにした。今回さらに4症例の分析を行ない新たな変異を同定したので報告する。また一部の変異について発現実験を試みた。2、 材料及び方法:β鎖欠損が確認された患者(83,212,276,338)を用いて実験を行った。塩基配列はcDNAもしくはゲノムDNAをPCR法にて増幅し、ジオキシターミネーション法にて決定した。β鎖cDNAOはpEUK-C1ベクターに挿入しリポフェクチン法にて線維芽細胞にトランスフェクトした。3、 結果:1)患者mRNAの解析:約1.6kbの全翻訳領域の塩基配列を決定した。その内訳はミスセンス変異2(C493T、C1283T)、ナンセンス変異1(C1495T)、欠失1(101-bp deletion:nt.1199-1299)であった。2)患者338のゲノムDNAの解析:欠失した101-bpをはさむ上流、下流の2つのイントロンをPCR法にて増幅し塩基配列を決定したところ下流のイントロンの_+3から_+10までの8塩基が、欠失していることが明らかになった。この結果、スプライス部位のコンセンサス配列を破壊し(AG/GTGAGG→AG/GTCATG)、エクソンスキッピングの原因となると考えられた。3)発現実験:β鎖欠損細胞に正常β鎖cDNAをトランスフェクトしPCC活性を測定したが、活性の上昇は認めなかった。4、 考察:昨年度報告したC1283T変異は今回も患者83、212にホモで認め日本人に多い特徴的な変異と考えられた。すでに報告したC1228T変異もC1283T変異と同一エクソン内に存在し、またこのエクソンそのものが欠失するなど、このエクソン周辺は変異のホットスポットであると考えられた。発現実験では、効率が低く活性の回復は見られなかった。今後より効率の良いベクターを作成し、発現実験を行なう予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 大浦 敏博: "日本人プロピオン酸血症患者(β鎖欠損)の遺伝子解析" 日本先天代謝異常学会雑誌. 10(発表予定). (1994)
-
[Publications] Jahara J.,et al.: "Three independent mutations in the same exon of the PCCB gene:Differences between Caucasians and Japanese propionic acidemia." J.Inher.Metab.Dis.16. 353-360 (1993)
-
[Publications] Ohura J.,et al.: "Propionic acidemia:Sequence analysis of mutant mRNAs from Japanese β subunit deficient patients." J.Inher.Metab.Dis. 16. 863-867 (1993)
-
[Publications] Ohura J.,et al.: "The molecular defect in propionic acidemia:exon skipping eaused by on 8-bp deletion from on citron in the PCCB allele." Hum.Genet.92. 397-402 (1993)