1993 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内外におけるフリーラジカル障害防止機構の小児期における発達と栄養障害の影響
Project/Area Number |
04670586
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Research Institution | Yamanashi Medical College |
Principal Investigator |
朝山 光太郎 山梨医科大学, 医学部, 講師 (70129310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相原 正男 山梨医科大学, 医学部, 助手 (30242639)
土橋 一重 山梨医科大学, 医学部, 助手
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Keywords | フリーラジカル / 小児 / 発達 / 栄養障害 / 抗酸化物 / 抗酸化酵素 / 酸素障害 / 過酸化脂質 |
Research Abstract |
Protein A-gold法で免疫酵素電顕的に、GPXのラット肝細胞内分布を見たところ、ミトコンドリア、核、細胞質マトリックス、ペルオキシソーム、リソソームの順に強くラベルされ、細胞全体に分布していた。免疫組織化学染色法による検討では、GPXはSODと同様に上皮性組織に多く含まれ、好気性代謝活性の高い部位に多く分布していた。MnSODの分布がミトコンドリアのみに局在しているのとは対照的に、GPXは広く分布しており、SODの染色性の低い結合組織、筋組織、血管内皮細胞などにも染色性が認められ、抗酸化酵素としての重要性が示唆された。胎性期ラットの組織における、GPXとSODの発現時期を比較すると、各酵素で発現する日齢に差が認められるが、心筋、肝、消化管、気道、腎の順番で発現が起こることは一致しており、SODとGPXが生体防御機構として密接に関連していることが窺えた。血清抗酸化能の乳児期における変動については知られていなかったが、AOAは日齢とともに増加し、生後3ヶ月までは低値であったが、生後4ヶ月以降では成人より高値となった。セルロプラスミン免疫活性、生物活性、トランスフェリン、アルブミンも同様に生後3ヶ月までは低値で、生後4ヶ月から1歳までの値が1歳以降と同等だった。新生児期、早期乳児期にはフリーラジカル発生阻止能は未熟であり、ラジカル消去物質の増加により、代償されている可能性がある。赤血球27.8mMおよび55.5mMグルコースに暴露すると、糖化蛋白の増加に平行して膜脂質過酸化が増強した。過酸化は、赤血球内還元型グルタチオン濃度を増加させると増強され、thiol blockerで低下させると抑制されたが、グルコース濃度自体に依存する増強もあった。過酸化はビタミンEで完全に抑制された。高濃度グルコースによる過酸化促進にはグルタチオン依存性の機構とグリケーション自体による機構があり、フリーラジカル連鎖反応を介する酸化障害と示唆された。
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[Publications] 朝山光太郎: "Antioxidants in the serum of children with insulin-dependent diabetic mellitus." Free Radical Biology & Medicine. 15. 597-602 (1993)
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[Publications] 土橋一重: "Immunohistochemical study of Cu,Zu- and Mn-superoxide dismatases in the lungs of human fetuses and new born infants." Virchow Archiv A(Pathological Auatomy). 423. 177-184 (1993)
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[Publications] 内田則彦: "ヒト血清中抗酸化能の検討.第三編.末期腎不全患児および腎移植後患児における低下" 日本小児科学会雑誌. 97. 1178-1183 (1993)
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[Publications] 林辺英正: "高濃度グルコースによるヒト赤血球膜脂質過酸化反応促進の機構について" 糖尿病. 37. (1994)
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[Publications] 内田則彦: "ヒト血清抗酸化能の検討.第4編新生児期・乳児期における検討。" 日本小児科学会雑誌. 98. (1994)
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[Publications] 朝山光太郎: "糖尿病と血清中抗酸化物質" 活性酸素・フリーラジカル. 4. 171-177 (1993)
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[Publications] 林辺英正: "ビタミンE研究の進歩II" 共立出版, 256 (1993)
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[Publications] 朝山光太郎: "生体内抗酸化物質" 学会出版センター, (1994)