1992 Fiscal Year Annual Research Report
百日咳における早期診断法の確立とワクチンの有効性に関する研究
Project/Area Number |
04670605
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡田 賢司 九州大学, 医学部, 助手 (80224012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠原 浩一 九州大学, 医学部, 助手 (20243941)
宮崎 千明 九州大学, 医学部, 講師 (30190763)
植田 浩司 九州大学, 医学部, 教授 (00038647)
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Keywords | 百日咳 / 家族内感染 / 百日咳菌分離 / DPT三種混合ワクチン |
Research Abstract |
1 早期診断法の確立 百日咳の早期診断法としては、細菌学的診断法と血清学的診断法が考えられる。細菌学的診断法としては、百日咳菌分離とPCR法があり今回の研究は菌分離に重点をおいた。その結果、従来百日咳感染症では菌分離率は低いとされてきたが臨床的に百日咳を疑った症例での分離率は75%と高率であることが判明した。これは百日咳の早期診断には菌分離が有用であり臨床的に百日咳を疑った症例では菌分離を試みる必要があるものと考えられる。但し施設によれば菌分離までの時間が必要な場合もある。現在の輸送用培地では24時間以内の保存は直接培地に接種する方法と分離率に差はないが輸送用の培地での2-3日間保存後の分離率は低下傾向にあり輸送培地の改良が必要と考えられる。一方菌分離が不成功に終わった場合、早期診断としては血清学的にIgM抗体を検出する方法が考えられる。現在非特異反応除去のための手段を検討中である。 2 ワクチンの有効生 ワクチンの有効性の評価法として百日咳患者が家族内に発生したときの家族内感染を菌分離を中心に調査した。その結果、成人を含む家族の58%が百日咳感染を受けていたことが判明した。調査できた家族構成員のうちワクチン未接種の兄弟が3名、このうち2名が典型的な百日咳を発症した。ワクチン接種歴が母子手帳で確認できた者が8名、このうち典型的な百日咳の症状を呈した者は認められなかった。さらに百日咳患児が発症後軽い咳が認められ者が3名、無症状者が1名であった。ワクチン接種歴不明の成人14名中6名に軽い咳があり8名は無症状であった。現在症例数を増やして検討中であるが、現時点ではワクチン接種により百日咳の感染は完全に防ぐことはできないが典型的な百日咳発症は防御できるものと考えられる。
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