1993 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病における微小冠循環障害と冠血管条の微細構造に関する研究
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04670611
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
浜岡 建城 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (60189602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾内 善四郎 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (20079875)
大持 寛 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (60177003)
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Keywords | 川崎病 / 冠動脈後遺症 / 微小冠循環障害 / 冠血管条 / 微細構造 / 冠予備能 / 心筋〓血 |
Research Abstract |
1)当該年度に新たに冠動脈造影検査を受けた川崎病既往児は計8例であり、その内、負荷心電図、負荷心筋シンチ上で虚血性変化を有するもの、造影上で狭窄性病変を認めなかった3例に対して前年度と同様に冠静脈カテーテル法を用いてペーシング負荷、薬物負荷時の冠循環動態を検討したところ、2例で明らかに冠血流増加予備能が低下していた。そこでこれまで同様の所見を持つ計8例に対して心筋PET(H_2^<15>O,^<18>FDP)を用いて検討したところ、心筋糖代謝に保たれているものの心筋シンチ上での灌流低下領域の平均心筋血流量が0.86±0.18ml/min/g(正常値:0.99±0.13)と有意に低下していた。以上から、川崎病既往児の一部が明らかな狭窄性病変を有さずに冠予備能の低下を認める症例が存在すること、その要因として微小冠循環障害が存在することが臨床的に示唆された。2)明らかな狭窄性病変を有しないにも拘わらず冠予備能が低下していたこれら2例を含めた計8例と、対照として拡大性病変を有するが明らかな冠予備能の低下が見られなかった6例の計14例の右室心筋を、電顕を用いて病理学的な面から冠予備能低下の要因を更に詳細に検討した。その結果、光顕的には心筋細胞の肥大・変性(14/14)、間質線維化(14/14)、単核球浸潤(4/14)が、また微小血管では、癌様変化(7/14)、壁肥厚(9/14)、内皮細胞突出(5/14)がみられた。電顕的には筋原線維のdisarray(14/14)、ミトコンドリア増生(14/14)、微小血管の内皮増生・突出(5/14)、血栓形成(3/14)、内皮変性(1/14)、壁の線維化・基底膜厚化(4/14)、不規則な内空拡大・癌様変化(14/14)などが見られた。これらの組織学的変化は造影上で異常を認めなかった症例にも程度の差はあるものの全例で認められ、特に微小血管での病変は臨床的に評価された冠予備能低下との関連から極めて重要な所見と考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Hamaoka,et al.: "Reversible left ventricular dysfunction with coronary stenosis or obstructive lesions in kawasaki disease" Coronary Artery Disease. 4. 83-86 (1993)
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[Publications] Z.Onouchi,et al.: "Transformation fo coronary artery aneurysm to obstructive lesiors and the role of collateral vessels in myocardial perfusion in padtients with kawasaki disease" Journal of American College of Cardiology. 21. 158-162 (1993)
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[Publications] 大持 寛他: "PETによる冠側副血行路を有する川崎病既往児例の検討" Proqress in Medicine. 13. 1337-1342 (1993)
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[Publications] 大持 寛他: "川崎病既往児における微小循環障害" 日本小児科学会雑誌. 97. 752-760 (1993)