1992 Fiscal Year Annual Research Report
先天性心疾患術後の突然死予防対策。水中運動時の不整脈発現について
Project/Area Number |
04670618
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森川 良行 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60101979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
込山 修 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70162063)
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Keywords | ファロー四徴症 / トレッドミル運動負荷 / 水中心電図 / 心室性期外収縮 / diving reflex |
Research Abstract |
ファロー四徴症心内修復術後患者11例(TOF群:8-16歳、男9例、女2例、術後経過年数6-13年、術後右室収縮期圧平均46mmHg)および対照8例(C群:7-18歳、男4例、女4例)を対象とし、1)水中心電図検査(1)できる限りその場に潜る「潜水」、(2)可能な泳法で原則として25m泳ぐ「水泳」を2回繰り返す)、2)Bruce法によるトレッドミル運動負荷(TM)、3)4℃の冷水を用いた顔面浸水負荷(FI)を行い、それぞれ心拍数変化および不整脈誘発の有無を観察した。 TMの耐容時間と最高心拍数は両群で有意差はなかった。最高酸素摂取量はTOF群全体ではC群に比べ低値であったが、3-E-禁の7症例では有意差はなかった。泳力はC群に比べTOF群の大半で劣っていたが、水泳中の心拍数変化は両群の各症例ともほぼ同様で、水泳開始直後より直線的に増加し、25-30秒後にはBruceIII段階相当の心拍数に達し、終了時まで維持された。また、FIおよび潜水の耐容時間と心拍数の減少の程度には両群で有意差はなく、心拍後は前値の約55%まで減少した。 心室性期外収縮は、C群では潜水で2例にみられたのに対し、TOF群では水泳で3例、潜水で4例に誘発された。ビート板を用いたばた足ではみられず、平泳ぎで初めて出現した症例も認められた。 TOF術後患者の水泳および潜水時の心拍数変化は、健常児と変わらない反応と考えられる。しかし、ばた足などの一般に比較的に軽いと思われる泳法でもBruceIII段階に相当する心拍数に達し、日頃の運動習慣に乏しい術後患者にとっては強い運動強度となっている。また、心室性期外収縮の出現率が高く、泳法の違いにより出現する症例もみられ、水中心電図検査を行うことにより、水泳運動参加の可否や運動強度の許容範囲を決定する際に、許容できる泳法を指示するといった具体的な指導が可能になると考えられる。
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