1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血管内皮細胞の免疫機能分子と血管新生(特に皮膚肥満細胞との相互作用)
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04670636
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
窪田 泰夫 聖マリアンナ医科大学, 皮膚科, 助教授 (10126047)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 血管新生 / 基底膜 / インテグリン / 肥満細胞 / フェノタイプ / 接着 |
Research Abstract |
これまでわれわれは基底膜成分ゲル(マトリゲル)の上でヒト血管内皮細胞を培養すると、比較的短時間で毛細管網構築を生じ,これが血管新生のin vitroでのモデルとなり得ることを報告している。本年度ではコンピューターによる画像解析を用いてこのマトリゲルによる毛細管網構築の計測・定量化を確立し、血管新生に及ぼす諸因子の解析を進めた。とくに血管内皮細胞と細胞外マトリックスとの接着を司るインテグリンレセプターの関与に注目した。その結果、beta1インテグリンの中でCD49b、やCD29抗体によって濃度依存性にこのマトリゲルに誘導される毛細管網構築が抑制されることが判明した。またCD49d、およびCD49f抗体では軽度の抑制効果を認めた。しかもこの毛細管網構築が抑制される濃度では血管内皮細胞の細胞外マトリックス自体への接着にはほとんど影響されなかったことから単にマトリゲルへの血管内皮細胞の接着抑制の結果二次的に毛細管網構築形成の抑制を認めたわけではなく、これらのインテグリンの血管内皮細胞の毛細管網構築形成能自身に及ぼすなんらかの影響が示唆された。次に外科的手術により得られた正常ヒト皮膚を酵素処理して真皮肥満細部を分離した。この手技に関しては十分に確立し、免疫組織染色によりインテグリンレセプター、クラスI,II抗原,細胞接着因子,およびIgEレセプターを含む免疫グロブリンレセプターなどの存在も確認された。さらにこの両細胞の互いの接着能を検討したところ、TNF刺激後の血管内皮細胞には真皮肥満細胞が非刺激の場合と比べて約2倍近く接着した。今後はこの接着に関与するリガンド-レセプターの解析を進める予定である。またこの真皮肥満細胞の無菌的な分離手技も確立させ、各種インターロイキンや成長因子を培養液に加えて、長期にわたるヒト皮膚肥満細胞の培養継代法の確立も進めている。
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Research Products
(2 results)