1992 Fiscal Year Annual Research Report
放射線による腫瘍の抗原性の変化の分子生物学的手法による解析
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04670684
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
槙殿 玲子 久留米大学, 医学部, 助手 (50038832)
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Keywords | 腫瘍関連抗原 / 放射線照射 / T細胞受容体(TcR) / TcR可変部位遺伝子(Vβ) / MH134腫瘍 / 抗原認識 |
Research Abstract |
腫瘍の抗原性が放射線照射によって変化するか否かを、腫瘍内浸潤リンパ球(TIL)並びに脾細胞と所属リンパ節細胞のT細胞受容体(TcR)遺伝子レパートリーの解析により調べた。一連の実験は、C3H/Heマウス由来のMH134腫瘍と同系マウスとの組み合わせで行った。当初の計画では、TcRの可変部位遺伝子Vα,Vβの両方の解析を予定していたが、研究費補助額との関係から今年度はVβに限定して解析を終了することとした。TcRの解析において一般に、クローン化したTILなどでは限定された Vβの使用が検出される可能性があるが、腫瘍から分離したばかりのTILでは非特異的なものも含むため優先的に用いられるVβ遺伝子をどの程度まで定量的に検出しうるかが問題となる。そこで (分化した)機能細胞は、分化する以前の(感作されていない)T細胞に比べて放射線感受性が低い事実を活用して、TcR解析用の細胞を採取する24-48時間前に担癌動物を5Gy全身照射する方法で感作リンパ球の選択を試みた。 MH134細胞 5×10^6個を大腿筋肉内に移植後7日目には全マウスで約1cm^3の腫瘤を形成する。この時点までは細胞傷害性リンパ球(CTL)は殆と検出されない。しかし移植後14日目にかけて所属リンパ節並びに脾にCTL活性が検出されるようになるとともに、移植後21日目までに約半数の動物で腫瘍が拒絶される。腫瘍の照射は腫瘍拒絶マウスに形成させた腫瘤(約1cm^3)に30Gy照射した。その後経時約に感作リンパ球のVβレパートリーを非照射の場合と比較検討した。TcRに対する抗体の使用によっても、感作リンパ球のmRNAから合成したcDNAと各Vβ遺伝子に特異的なprimersとの結合比率からもC3H/HeマウスはMH134腫瘍に対する免疫反応ではVβ6を主に使用しており、腫瘍照射後新たにVβ8の使用が検出された。Vβ8が腫瘍拒絶抗原の別のエピトープに対応したものなのか、腫瘍組織内の別の抗原に対応したものなのかは更に解析を必要とする。
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