1993 Fiscal Year Annual Research Report
メタンフェタミン・コカイン反復投与による脳部位別薬物動態の変化-LSC法及びオートラジオグラフィーによる検討
Project/Area Number |
04670687
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松岡 洋夫 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (00173815)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 寿美子 東北大学, 医学部附属病院, 医員
沼知 陽太郎 東北大学, 医学部附属病院, 助手
猪ノ坂 孝雄 東北大学, 医学部附属病院, 助手
佐藤 光源 東北大学, 医学部, 教授 (70033321)
|
Keywords | 覚醒アミン / コカイン / ドパミントランスポーター / 逆耐性現象 / 分裂病モデル / 中枢刺激薬 / 覚せい剤精神病 / 薬物動態 |
Research Abstract |
動物に覚醒アミンを反復投与したさいに観察される逆耐性現象は、覚醒剤精神病や精神分裂病における症状再発脆弱性の研究モデルとされ、その基盤には、脳ドパミン(DA)系の持続性機能変化が想定されている。さきに我々は、メタンフェタミン(MAP)逆耐性ラットに[^<14>C]MAPを投与し、線条体、側坐核、小脳で放射活性が有意に増加していることを観察し、逆耐性現象に伴うDA系の持続性機能変化が、DA系神経終末部位におけるDA取り込み部位(DAT)の変化に基づくものと推論した。平成4年度は、定常状態のMAP逆耐性形成動物で、コカイン誘導体の[^<125>I]RTI 55の集積が、DA神経終末に富んだ脳部位だけでなく、小脳、橋など広範な脳部位でも有意に増加していたことを観察した。RTI 55は、DATを含むモノアミントランスポーターの細胞膜内アミノ酸に高親和性に結合することが報告されているので、MAP逆耐性動物ではモノアミントランスポーターに持続的な変化が生じている可能性を示唆した。本年度は、定常状態のコカイン逆耐性形成動物とコカイン単回投与動物に、[^<125>I]RTI 55を投与し、マクロオートラジオグラフィーを用いて、コカイン逆耐性に伴うDATの変化の検索を行った。逆耐性群でDA神経終末に富んだ脳部位だけでなく、小脳、橋などでも放射活性が対照群に比べて有意に減少しており、単回投与群では有意な変化を認めなかったので、コカイン連続投与による逆耐性の形成に伴って、RTI 55の集積が減少することが示された。本年度観察した結果は、コカイン逆耐性動物ではDATを含むモノアミントランスポーターが減少していることを示唆するものである。MAP、コカイン逆耐性形成動物で、[^<125>I]RTI 55の脳内集積の変化が逆であったことは、交差逆耐性の機構を説明するものではないが、MAP逆耐性とコカイン逆耐性の機序が異なることを示唆し、逆耐性形成にDATが重要な役割を果たしている事を再認させるものである。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Matsuoka,H.et al.: "Visual information processing deficits and vulnerability in Schizophrenia:biologicul and cognitine implications of the anomaly in NA potential" The Japanese Journal of Psychiatry and Neurology. 47. 694 (1993)
-
[Publications] Numachi,Y.et al.: "Radioimage analysis of biodistribution of [^<125>I]RTI 55 in rat brain after subchronic administration of cocaine" The Japanese Journal of Psychiatry and Neurology. 47. 703 (1993)
-
[Publications] Numachi,Y.et al.: "Radioimage analysis of biodistribution of [^<125>I]RTI 55 in rat brain after subchronic central stimulants" Neurochemical Research. 18. 826 (1993)
-
[Publications] Numachi,Y.et al.: "Neural mechanism of stimulant-induced psychosis:secondary Lrain damage following methamphetamine dependence" The Japanese Journal of Pharmacology. in press (1993)
-
[Publications] 佐藤 光源,他: "てんかんと精神病との生物学的関連" 脳と精神の医学. 4. 83-85 (1993)
-
[Publications] Yoshida,S.et al.: "Changes in biodistribution of a cocaine analogue,[^3H]WIN 35,428,in rat Lrain after subchronic administration of central stimulants" Neurochemical Research. 18. 826 (1993)
-
[Publications] 松岡 洋夫(分担): "事象関連電位-事業関連電位と神経情報科学の発展" 新興医学出版社, in press (1994)
-
[Publications] 佐藤 光源(分担): "精神分裂病の発症脆弱性:脳機能の解明-分子から病態まで" 創風社, in press (1994)