1994 Fiscal Year Annual Research Report
加齡による中枢神経伝達機能の変化とコリン作動薬の作用に関する研究
Project/Area Number |
04670689
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
十束 支朗 山形大学, 医学部, 教授 (80009133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川勝 忍 山形大学, 医学部, 助手 (00211178)
森信 繁 山形大学, 医学部, 講師 (30191042)
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Keywords | 加齡 / アセチルコリン / ムスカリン受容体 / セカンドメッセンジャー / イノシトール燐脂質 / マイクロダイアリシス |
Research Abstract |
老齢ラットでは大脳皮質前頭部のカルバコール刺激性イノシトール燐脂質蓄積は若年ラットと比較し低下を示した。老齢ラットでは、後シナプスのムスカリン受容体の数の減少はないことから、受容体機能の低下が示唆された。 ムスカリン受容体(M1)刺激作用があり抗痴呆薬として期待されるピロカルピン誘導体SDZ-ENS163およびSDZ-BOP-086の慢性投与(14日間)で、大脳皮質ムスカリン受容体密度およびイノシトール燐脂質代謝に及ぼす影響について検討した。いずれも、通常のアゴニストと異なり、受容体の減少はおこさずに、イノシトール燐脂質代謝回転を促進させていることが示され、受容体の減少を起こさないレベルで作用していることが確かめられた。これは、治療薬として長期投与を考えたときに好ましい性質ではないかと考えられた。これらの薬剤は、老齢ラットの受容体機能の低下を改善させる作用があると考えらた。 マイクロダイアリス法によるシナプス前部のアセチルコリン放出に関する検討では、前頭葉において、老齢ラットでは若年ラットと比較して、アセチルコリン放出能が低下していることが示された。上記のムスカリン受容体アゴニストの投与では、シナプス間隙のアセチルコリン濃度の低下はみられず、シナプス前の自己受容体に対する作用は認められないと考えられた。コリンエステレース阻害剤であるフィゾスチグミンの反復経口投与により、前頭葉のシナプス間隙のアセチルコリン濃度の加齡に伴う低下は改善され、コリンエステレース阻害剤の臨床的有用性の根拠となると考えられた。
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