1994 Fiscal Year Annual Research Report
分裂病者の家族機能が社会的転帰に与える影響についての計量疫学的研究-島嶼部における生活実態に関する行動生態学的分析を通して-
Project/Area Number |
04670703
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
太田 保之 長崎大学, 医療技術短期大学部, 教授 (50108304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 長太郎 長崎大学, 保健管理センター, 講師 (50209061)
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Keywords | 精神分裂病 / 行動生態学 / 社会適応度 / 家族機能 |
Research Abstract |
DSM-IIIRの基準で診断された分裂病者100例に対し、1988年4月〜1992年4月の期間に行われた継続的治療を臨床的に評価した。1988年4月から始まった観察期間4年間を外来のみで経過したのは53例(A群)、入院を必要としたのは47例(B群)であった。B群はA群より教育水準は有意に高いが、就業率は低く、生活保護費受給率も高かった。この特徴は男性に顕著に現れていた。B群の精神症状や社会適応度もA群より悪かった。1988年4月以前は100例の約80%が入院歴を有していたが、観察期間内の入院率は47%に低下した。B群の入院理由を検討すると、家族の治療的意欲が大きい入院希望や患者自身の短期入院希望など、精神科施設の積極的な利用が目立った。これは患者や家族がいかなる時期にいかなる治療形態を主体的に利用していくのかを、経験的に体得する過程に医療機関が積極的に係わることによって生まれてくる。つまり、外来通院医療・地域訪問リハビリテーション・入院医療の有機的治療システムの構築が成立しつつあることの成果と考える。また、交通の便が悪い離島においては、精神科医、精神科作業療法士、保健婦の三者による訪問リハビリテーションの実施が臨床的に有効であることも確認された。
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Research Products
(1 results)