1992 Fiscal Year Annual Research Report
季節性感情障害の本態と高照度光療法の作用機序に関する臨床ならびに基礎的研究
Project/Area Number |
04670705
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
永山 治男 大分医科大学, 医学部, 助教授 (70100899)
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Keywords | 季節性感情障害 / 光療法 / 生体リズム |
Research Abstract |
季節性感情障害患者に高照度または低照度の光療法を行いその効果を比較検討した。高照度光照射を行った3名では2名が著効を示したが1名は無効であった。低照度光照射を行った3名はいずれも無効であった。高照度光照射により著効を示した者にさらに低照度光照射を行ったところ無効であったが、そのあと行った高照度光照射は有効であった。現在のところまだ症例が少ないが、光療法においてはやはり照度が重要であることが示唆された。 非季節性の感情障害患者12名の体温および睡眠覚醒リズムを測定しつぎの結果を得た。両リズムの位相間の差は臨床重症度と有意な相関を示した。体温リズムの周期、両リズムの位相差は抗うつ薬に対する治療反応性に有意な相関を示した。 ラットの体温、行動、飲水リズムをきわめて厳重な条件下で同時に測定し、光照射時間の長短による影響を検討した。その結果、2時間明、22時間暗という条件下では12時間明、12時間暗という条件下に比べ約2時間の位相の移動が生じることが判明した。さらに光サイクルの8時間後退に対するリズム位相の再同調には2時間明の条件下では12時間明に比べ約3倍の再同調期間を要することが判明した。 以上の結果は、感情障害においてはリズム障害が重要な病態ないしは病因上の意義を有し、季節性感情障害においてはこれが特に顕著な意味を有し、光療法がリズムを通して作用していることを示すものと考えられる。
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