1992 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー型痴呆に対するエストロゲン療法と脳機能について
Project/Area Number |
04670707
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
大蔵 健義 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (80092394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一瀬 邦弘 東京都多摩老人医療センター, 医長 (30126205)
矢追 良正 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00014340)
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Keywords | Dementia / Alzheimer type / Estrogen therapy / Psychological tests / rCBF by SPECT / Quantitative EEG / Menopause / Female |
Research Abstract |
I.女性アルツハイマー型痴呆(DAT)に対するエストロゲン補充療法(ERT)の短期投与(結合型エストロゲン1.25mg/日、6週間連日経口投与):以前行った13症例のうち2症例では、SPECTによる局所脳血流(rCBF)測定と定量脳波(EEG)を行っていなかったので、ERTを再度行い、rCBFとEEG測定を追加した。更に新しく2症例に心理テストとrCBF,EEGを行い、合計15症例とした。今回は、別の15例をコントロール群として心理テストを行った。1)心理テスト:ERT15例中12例に明らかな効果を認めた。Mini-Mental State(MMS)と長谷川式簡易知能評価スケール(HDS)の平均スコアはERTの3週目と6週目に有意に増加した。MMS:1.7(3週,p<0.01)、2.3(6週,p<0.001)。HDS:3(3週,p<0.001)、3.1(6週,p<0.01)。GBSスコアやハミルトンうつ症状評価尺度もERT中に有意に改善された。15例のcontrol群の平均スコアは、4種類の心理テストのいずれでも有意な変化は認められなかった。2)rCBF(corti-co-cerebellar ratio):右下前頭部で23%(p<0.01)、右運動領で5.4%(p<0.02)、有意に増加した。3)EEG:Fp_1:Fp_2のδ波(いずれもp<0.01)とFp_1のθ_1波(p<0.05)がERT中に有意に減少した。II.新に行う予定のERT短期投与10症例については、placeboと実薬をcross overに投与してdouble blind studyとして行っており、現在8例目が終了したところである。III.ERTの長期投与症例:0.625mg/日のERTに周期的にプロゲステロンを併用して現在までに7症例を行った。最短5カ月、最長1年7カ月で、著効4例,有効2例、無効1例であった。IV.ERTにより本当にrCBFが増加するかどうかを、若い閉経症例で動脈採血法により定量的に測定している。4例で皮質各部位と小脳のいずれでもrCBFは増加しており、それぞれの平均増加率は50.5±4.5(SD)%と48.5±2.1(SD)%であった。大幅な血流の増加であり、症例を追加して検討している。
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