1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670710
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
山崎 晃資 東海大学, 医学部精神科, 教授 (50147170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 健介 東海大学, 医学部精神科, 助手 (60219657)
林 雅次 東海大学, 医学部精神科, 助教授 (30096250)
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Keywords | 自閉症 / 初期徴候 / 乳幼児期 / 病因論的研究 |
Research Abstract |
自閉症は、精神機能の広汎な領域における歪んだ発達障害と考えられ、中枢神経系の成熟遅滞もしくは機能障害を基盤としていると想定されている。国際的診断基準では4〜12歳レベルで形成される対人関係の障害、言語障害、強迫的な同一性保持の3徴候を主症状と考えているが、より早期の乳幼児期における症状についての研究は未だに乏しい。自閉症の病因に関する生物学的研究の糸口を得るために、「乳幼児期異常行動歴」(24項目)と「小児行動質問表B Suppl.I式」(65項目:言語15項目、対人関係・社会性26項目、認知行動24項目)による乳幼児期の自閉的行動についての検討を始めた。 平成4年度は、予備研究として次の検討を行った: (1)「乳幼児期異常行動歴」を用いた発達障害児に関する先行研究をさらに発展させるために、自閉症児188例(男146例、女42例、6.7±3.5歳)と正常児261例(男133例、女128例、1.8±0.8歳)の2群についての比較検討を行った。24項目の全てが、自閉症群で有意に高い頻度で認められたが、頻度別にレベル化することによって、行動形の重み付けが可能かどうかについて検討を進めている。 (2)「小児行動質問表B Suppl,I式」の65項目が、正常乳幼児でどのように評価されるのかを検討することを試みた。研究の対象となった資料は、平塚市の5つの保育園児(1〜6歳児)について、1987年(396例:男児193例、女児203例)と1989年(442例:男児218例、女児224例)の2度にわたって彼らの母親または主たる養育者に上記質問表に記載してもらった行動観察記録である。65項目について、性別、年齢別の出現頻度についての検討を行ったが、90%以上の子どもで「目だたない」と評価された。さらに、155項目からなる「小児行動質問表B式III」によって得られた資料のクラスター解析を行い、臨床場面における有用性について検討を進めている。 正常乳幼児の行動の変遷を検討することによって、自閉症の初期症状を抽出する可能性が認められた。
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[Publications] YAMAZAKI,K.,Mizoguchi,K.,Inomata,J.et al.: "Early Signs of Infantile Autism" 第5回世界乳幼児精神医学会(シカゴ). (1992)
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[Publications] 溝口 健介,山崎 晃資,荘司 美香 他: "保育園児を対象にした小児行動質問表の評価" 第33回日本児童青年精神医学会(横浜市). (1992)
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[Publications] 本田 秀夫,清水 康夫,山崎 晃資: "小児行動質問表(B-Suppl.I式)の再現性と妥当性について" 第33回日本児童青年精神医学会(横浜市). (1992)