1992 Fiscal Year Annual Research Report
癌遺伝子および癌関連抗原の発現に基づく乳癌進展の3次元的解析・乳房部分切除術への応用
Project/Area Number |
04670721
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内 憲明 東北大学, 医学部, 助手 (90203710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 昌造 東北大学, 医学部, 教授 (70004877)
高橋 徹 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (10004590)
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Keywords | 乳癌 / 乳房温存療法 / ETC / 3次元マッピング |
Research Abstract |
本年度は先ず乳房温存療法を施した乳癌手術標本約30例を材料としてハム・スライサーを用いて3mm幅で組織を全割し、癌の進展・分布の2次元的なマッピングを行った。その結果、癌の乳管内進展(Extensive Intraductal Component:EIC)は浸潤癌の約3割に認められ、乳頭側における癌遺残の原因となっていることも確かめられた。また、EICは比較的高率に癌の多発や異型上皮(ADH)と併存する可能性が示唆された。 次にEIC(十)の症例を対象にコンピュータ支援下に準連続切片による3次元マッピングを試みた。その結果、一見単一の癌とみなされた症例も実は多中心発生の乳管内癌から成り立っていることが判明した。これらの癌は同一乳管系において1)広範かつ樹枝状に多数の末梢乳管に癌を認める形式、あるいは2)多発性ではあるが比較的限局した範囲内にとどまり、主に末梢-乳頭方向に進展していく形式に大別された。いずれにせよ、EICと呼称されるものはあくまでも乳管内を進展する癌そのものであり、浸潤癌に派生するものではない、ということを可視的に証明できた。また乳房温存療法においてEIC(十)乳癌の術後再発率が高い理由が単に癌の乳管内進展の程度(広がり)のみならず、EIC(十)乳癌がそもそも発生において多発性であるという点からも裏付けられた。今後解析症例数を増やしていくとともに、このような同一乳管系内の癌の多発性と、さらに広い意味での多発性との関連を観るために、whole breastの検索を準備中である。 一方癌遺伝子産物等に関する免疫組織化学的検索は未だpreliminaryな段階であるが、異型上皮(ADH)および乳管内癌(DCIS)症例を対象に現在検討中である。
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