1992 Fiscal Year Annual Research Report
癌遺伝子の発現を抑制するアンチセンス分子を用いた癌遺伝子療法の開発
Project/Area Number |
04670740
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上尾 裕昭 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (70150430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 章 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (60210001)
中島 秀彰 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手
井上 裕 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (90203249)
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Keywords | c-myc / 分子生物学 / アンチセンス分子 / エストロゲン感受性 |
Research Abstract |
今年度はc-mycに対するアンチセンス分子(AS/c-myc)を化学合成して培養ヒト癌細胞に作用させ、細胞内への取り組みの程度を観察するとともに、癌細胞のc-myc蛋白合成と増殖能、およびヒト乳癌細胞のエストロゲン感受性に及ぼす影響を検討し、以下の知見を得た。 1.アンチセンス分子の合成と癌細胞内取り込みの解析:C-myc遺伝子の塩基配列の中から蛋白合成に関わる領域をコンピューター・サーチより選び、相補的な塩基配列を持つAS/c-myc、およびAS/c-mycの塩基配列を任意に入れ替えたミスマッチ・コントロール分子をホスホロアミダイト法用いて化学合成した。まず、蛍光色素を結合させたAS/c-mycをヒト乳癌細胞の培養液中に添加し、細胞内取り込みをフローサイトメトリーを用いて測定したところ、添加後1時間目には35%の細胞に取り込まれ、添加後24時間目には100%の細胞に取り込まれることが判った。 2.c-myc蛋白合成に及ぼす影響:ヒト乳癌細胞、ヒト食道癌細胞にAS/c-mycを添加し、c-myc蛋白の合成の程度を抗c-myc抗体を用いた免疫染色に観察したところ、AS/c-myc添加によりc-myc蛋白の合成が抑制されることが示された。 3.癌細胞の増殖能に及ぼす影響:ヒト食道癌細胞、ヒト乳癌細胞の培養液中に各濃度のAS/c-mycを添加し、24,48,72,96時間目の細胞増殖能を^3H-thymidine(^3H-TdR)のpulse labelingで測定したところ、AS/c-myc添加後24,48時間目の細胞増殖は濃度依存的に有意に抑制された(P<0.05)。一方、ミスマッチ・コントロール分子による細胞増殖抑制は軽度であり、AS/c-mycによる細胞増殖抑制は化合物自体の細胞毒性ではなく、c-myc蛋白合成抑制に基づいたアンチセンス効果によるものと考えられた。
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