1993 Fiscal Year Annual Research Report
転移性肝癌に対するモノクローナル抗体を用いた肝動注療法の基礎的および臨床的研究
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04670758
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
奥山 和明 千葉大学, 医学部, 講師 (00152439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯野 可一 千葉大学, 医学部, 教授 (70009489)
粟野 友太 千葉大学, 医学部, 助手 (00241951)
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Keywords | 肝転移 / 動注療法 / 肝動注カテーテル / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
消化器癌は肝に転移する症例が多く、最近では積極的に肝切除が施行されているが、残肝再発を認めることが多いので、さらに遠隔成績向上が望まれている。そこで我々は1981年以降、転移性肝癌症例を対象に肝動脈内に挿入留置したカテーテルから抗癌剤投与を行い、無治療群に比較し、肝切除後の無再発期間の有為な延長を認めてきた。しかし、いまだ満足すべき成績とは言い難く、予後向上のために、肝動注カテーテルからの投与内容の検討を重ねて、肝転移例に対しその効果を期待することを目的として本研究を開始した。 まず、転移性肝癌患者の肝動脈内に肝動注カテーテルを留置し、肝動注療法を行うべき症例の選択を検討した。すでに報告したごとく、異時性の大腸癌肝転移例で肝転移の程度H1の30例中、肝切除施行した25例の5年生存率は18.1%であり、非切除5例の生存率に比較して有意に予後良好だったが、肝転移の程度H2では切除5例、非切除12例は全例とも3年以内に死亡し、両者の生存率に有意差を認めなかった。さらに最大径と個数別に生存率を比較検討すると直径4cmを境に肝転移に対する肝切除は有効性を認めなかった。すなわち、肝転移の程度H1の症例に肝切除の有効性を認めるが、それ以上の程度では、肝動注療法に頼らざるを得ないことを確認した。 次に、昨今の事情を考慮してモノクローナル抗体を投与予定の患者およびその家族に対して、十分説明をして了解を得るinformed consentのシステムを確立した。他施設で使用している患者への説明文書を参考に我々も作成してinformed consentを得るべく検討をした。しかし、倫理委員会での検討も必要となることもあり、慎重な態度で望むべきと思われ、研究のスムーズな遂行を妨げる要因となりえた。したがって、肝動注カテーテルから厚生省の認可のある抗癌剤を注入することは問題はないが、モノクローナル抗体を投与するには制約が多く、多数の患者を対象に検討することは容易ではないのが現状であり、当初の研究計画は現在のところ十分に達成できていない。そこで、マウスを対象にした基礎的研究に重点を置き、放射性同位元素で標識した抗CEAモノクローナル抗体1B2の静注投与と動注投与の場合との生体内分布の差異を検討して臨床応用に最適な時間や抗体量などの条件を検索することにした。以上、今年度のまとめを報告した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 奥山和明: "大腸癌肝転移例に対する肝切除の有効性" 日本大腸肛門病学会雑誌. 46. 116-122 (1993)
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[Publications] Kazuaki Okuyama: "Evaluation of PH-Operutive inlraavterial infusion chemotherapy for colorectal cancer with liver metastasis in hishlogical finchings" Reg.cancer Treat.1-2. 48-52 (1992)