1994 Fiscal Year Annual Research Report
転移性肝癌に対するモノクローナル抗体を用いた肝動注療法の基礎的および臨床的研究
Project/Area Number |
04670758
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Research Institution | Chiba Uni., |
Principal Investigator |
松原 宏昌 千葉大学, 医学部・付属病院, 助手 (10261926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯野 可一 千葉大学, 医学部, 教授 (70009489)
松原 久裕 千葉大学, 医学部・付属病院, 医員
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Keywords | 肝転移 / 動注療法 / 肝動注カテーテル / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
消化器癌は肝に転移する症例が多く、最近では積極的に肝切除が施行されているが、残肝再発を認めることが多いので、さらに遠隔成績向上が望まれている。そこで予後向上のために肝動注カテーテルから各種薬剤や抗体等の投与内容や方法の検討をして、肝転移例に対し効果を期待することを目的として本研究を開始した。 1.基礎的研究:ヒト型モノクローナル抗体4G12を^<125>Iで標識して、cell-binding assayを行い標識後もactivityを有することを確認した。ヒト食堂癌を皮下移植したヌードマウスに^<125>I-4G12を静注して血中clearanceを検討すると、投与48時間以降で十分排泄された。次に^<125>I-4G12の臓器別分布を検討すると腫瘍血液比は投与後漸増し、投与120時間後で最高値4.24±0.19に達した。他臓器の血液比は1以下で、4G12の腫瘍に対する特異性を認めた。シンチグラフィーを行うと投与後96時間で腫瘍の描出を得た。よって臨床応用に最適な条件を検討し得た。またProliferating cell nuclear antigen(PCNA)の免疫組織化学的検出により、増殖活性の検討も行った。 2.臨床的研究:まずinformed consentのシステムを確立した。そして肝転移例の肝動脈内に肝動注カテーテルを留置し、肝動注療法を行うべき症例の選択を検討すると、肝転移の程度H1の症例に肝切除の有効性を認めるが、それ以上では肝動注療法がよりことを確認した。次に動注の合併症について検討した。節なしカテーテルではカテーテル内血栓が11.3%にみられたが、節付きで内外heparin coatingされたカテーテルを使用して胃十二指腸動脈と肝動脈分岐部に先端を留置することで合併症が減り、長期の動注が可能となった。また大腸癌肝転移例の肝切除後のone shot動注(術後2週よりMMC 10mg,ADM 10mg、1回/月×5回)により、残肝再発率が14.3%と有意に低下し、5年無再発生存率も66.1%であり、動注療法を行わない群との間に有意差を認めた。 3.今後の研究の展望:わが国においても、癌の遺伝子治療の研究が試みられつつあるが、今後は、標的腫瘍に特異的に遺伝子を運搬するdrug delivery system(DDS)の開発にモノクローナル抗体の応用も期待され、さらに肝転移例においては遺伝子治療の経路として肝動注が有効と予想されている。以上より、これからは癌の遺伝子治療の研究と平行して検討されるべきと思われた。
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