1992 Fiscal Year Annual Research Report
部分的胆管炎が健常部肝の網内系機能に及ぼす影響の実験的研究
Project/Area Number |
04670760
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
万代 恭嗣 東京大学, 医学部(病), 講師 (80143444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今西 宏明 東京大学, 医学部(病), 医員
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Keywords | 肝切除術 / 胆管炎 / 網内系機能 |
Research Abstract |
ビーグル犬を用いて、開腹後外側左葉の胆管にカニュレーションしたのちこれを結紮し、部分的胆管閉塞を作成した。同葉を一次的に阻血し、残存肝の網内系機能をリピッドエマルジョンテストを用いて測定し、コントロールとした。カテーテルは皮下の埋没し、1週間後に大腸菌臨床分離株を注入して部分的胆管炎モデルとした。この2日後に開腹し、同様に外側左葉を阻血後、リピッドエマルジョンテストを行い、部分的胆管炎の健常肝におよぼす影響を測定した。上記の処置前、胆管閉塞後で大腸菌注入前、大腸菌注入後2日目に、それぞれ補体(CH_<50>、C_3、C_4)、フィブロネクチン、血中エンドトキシンおよび一般肝機能の測定を行なった。 部分的胆管炎作成後のリピッドエマルジョンテストでは、これまでのところ処置前と比較して血中消失率で平均130%の延長を示し、網内系機能の低下が裏付けられた。補体とくにC_3およびフィブロネクチンの低下をみており、網内系機能の低下が認められた。一般肝機能では、ビリルビン値は平均5mg/dlの上昇を認め、また血中アルブミンの低下、プロトロンビン時間の延長も認めた。血中エンドトキシン値およびビリルビン値の上昇は、リピッドエマルジョンテストによる脂質の血中消失率延長とある程度の相関をみており、これらのデータが、網内系機能の低下の指標になりうると考えられた。 以上より、部分的であれ胆管炎の存在は、健常部肝の網内系への影響が存在することが示された。
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