1993 Fiscal Year Annual Research Report
部分的胆管炎が健常部肝の網内系機能に及ぼす影響の実験的研究
Project/Area Number |
04670760
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Research Institution | UNIVERSITY of TOKYO |
Principal Investigator |
万代 恭嗣 東京大学, 医学部(病), 講師 (80143444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 精彦 東京大学, 医学部(病), 医員
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Keywords | 胆管炎 / 肝切除術 / 網内系機能 |
Research Abstract |
平成4年度に引続き、平成5年度は、雑種成犬(15kg)8匹を用いて部分的胆管炎が健常部肝の網内系機能に及ぼす影響の検討を続行した。分葉した肝の内側左葉の胆管(B3)にカニュレーションして結紮し、部分的胆管閉塞を作成した。同時に血流遮断のための準備として、内側左葉の動脈(A3)および門脈(P3)にテーピングを行った。同葉を一次的に阻血し、リピッドエマルジョンテスト(以下、LET)を行い、処置前のコントロールとした。その後、エンドトキシンをB3に注入し、部分的胆管炎モデルを作成した(n=5)。また、エンドトキシン注入操作のコントロールとして、同量の生理食塩水を注入した(n=3)。カテーテルおよび阻血用テープは腹膜前腔に埋没し、閉腹した。1週間後に開腹し、前記と同様に内側左葉を阻血後、LETを行った。それぞれの時点で、一般肝機能およびエンドトキシン値を測定した。また、エンドトキシン注入群では、LET終了後に犠牲死させて肝を摘出し(n=2)、胆管閉塞部肝および健常部肝における胆管炎の有無を、病理組織学的に検討した。 エンドトキシン処置後のリピッドエマルジョンテストにおける血中脂質の半減期は平均値で8.8±0.4分と、コントロールの3.60.±1.3分と比して、150%の延長をみた。しかし、生食注入群では、コントロール値と比較して両群とも血清ビリルビン値の上昇はなく、また、エンドトキシン値も測定限界以下であった。病理組織学的検討では、閉塞部胆管の拡張と周囲の炎症性細胞の浸潤を認めたが、健常部肝では明瞭な炎症像は、認められなかった。 以上より、部分的であれ胆管炎の存在は健常部肝の網内系へ影響を及ぼし、その機能を低下させることが示された。
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