1992 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌巣,転移巣における遺伝子産物の発現状態と予後の関連性についての研究
Project/Area Number |
04670766
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
砂川 正勝 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (10114761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 辰幸 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00186115)
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Keywords | 食道扁平上皮癌 / c-erbB-2 / DNA ploidy pattern / p53 / 食道癌の予後 |
Research Abstract |
1.食道癌患者の血清中の癌遺伝子産物C-erbB-2蛋白濃度の検討:抗C-erbB-2モノクローナル抗体を用いたEIAキット(Triton)で測定を行った。cut off値は健常成人50名の血清濃度測定の結果から13.5U/mlとした。食道癌術前患者22例の検討では9例(41.0%)が陽性であり他の消化器癌患者に比べて高頻度であった。深達度はsm癌3例、mp-a_2癌6例であった。病理組織学的所見については陽性群と陰性群の間には差はなくSCC,CEA値とc-erbB-2蛋白濃度との相関も認められなかった。しかし陽性例の内stageIVの4例中3例が1年以内に再発し2例は死亡し癌の進展を反映する新たな予後因子となる可能性が示唆された。 2.食道扁平上皮癌細胞核DNA ploidy patternの解析:癌細胞をDAPI染色して顕微分光測光法により検討した。得られたヒストグラムよりdiploid(D),low grade aneuploid(LGA),high grade aneuploid(HGA)の3型に分類した。57例の検討ではD型16例(28.0%),LAG型14例(24.6%),HGA型27例(47.4%)であった。早期食道癌の70%がD型であり進行癌の55%がHGA型であり進行癌の予後不良がうらずけられた。HGA型の患者ではその74%にリンパ節移転が見られ、脈管侵襲も高度で再発は70%にみられた。またD型患者の4年生存率は45%であるのに対し、HGA型のそれは9%となりDNA ploidy patternが食道癌患者の予後と密接に関連していることが示された。 3.食道癌組織における癌抑制遺伝子p53の変異についての検討:PCR-SSCP法を用いてp53の突然変異を検出した。現在まで検討した37例中18例(48%)に変異を認めたが他家の報告に反してリンパ節転移との相関は認めていない。
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