1992 Fiscal Year Annual Research Report
消化器各種再建物合法における表層粘液層ならびに粘液産生細胞の細胞動態の研究
Project/Area Number |
04670773
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
杉山 敦 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (90187675)
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Keywords | 消化管手術 / 表層粘液層 / 組織化学 / 粘液産生細胞 / 細胞動能 |
Research Abstract |
臨床研究:ヒト残胃6例(平均年齢59歳(41〜76歳),男3例女3例,胃癌5例腹部食道癌1例, 胃切除後経過年数平均24.3年(12〜41年), 初回手術対象は全例良性胃十二指腸潰瘍, B-I再第3例B-II再建3例). 並びに対照として亜全摘ないし全摘された切除胃20例を用い表層粘液層を検討した. 結果)対照群の表層粘液層の厚さは幽門粘膜21.0±10.0μm,胃体部粘膜54.4±26.1μmであった. 表層粘液層はGOCTS陽性の表層粘液細胞型粘液とPCS陽性の腺粘液細胞型(噴門腺ー副細胞ー幽門腺型)粘液による数層〜十数層の層構造を示した 残胃では6例全例に吻合部近傍の逆流性胃炎が見られた.表層粘液層は対照群の胃体部粘膜に部位がほぼ一致する吻合近傍において46.0±12.5μm, 胃体上部で71.0±37.7μmと対照群と有意差の無い厚さの粘液層が見られた. 一方, 表層粘液層は吻合部に近づくにつれ菲薄化し吻合部で途絶する所見が認められた. 組織化学的に粘液層は対照と同じく2種の粘液の多重層構造を示したが, 腺萎縮の見られる吻合近傍でPCS陽性粘液の比率が減少していた.実験研究:雑種成犬24匹に胃切除BillrothII法再建術を行い, 術後1週, 2カ月, 6カ月の群分けを行い, BrdU1g静注60分後に屠殺し臨床例と同様の検討並びにBrdU染色による細胞動態の解析を行った.結果および結論)術後早期には吻合部近傍の粘液産生細胞(特に腺粘液細胞)の増殖は促進しており, 活発な粘液産生が見られたが粘液層は菲薄であった. 経時的に腺は萎縮に傾き, 細胞分裂は正常化し充分な厚さの粘液層が見られた. 結論)残胃において表層粘液層が組織学的に第認され, 2種の粘液の多層構造を示す事が明かとなった. 吻合近傍で粘膜防御能の低下を示す粘液層の菲薄化がみられ残胃逆流性胃炎発生の要因であることが示唆された. 吻合部腺粘液細胞は術後早期に増殖し6カ月以上経過して萎縮に傾くことが明かとなった
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