1992 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪肝の虚血耐用性に関する実験的検討(脂肪肝の程度と虚血時間の関係について)
Project/Area Number |
04670774
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
飯田 辰美 岐阜大学, 医学部・附属病院, 講師 (20222812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 英夫 岐阜大学, 医学部・附属病院, 医員
片桐 義文 岐阜大学, 医学部・附属病院, 医員
林 勝知 岐阜大学, 医学部, 講師 (80144020)
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Keywords | 脂肪肝 / 虚血一再潅流 |
Research Abstract |
【目的】肝機能検査や画像診断などの診断法の進歩により、脂肪肝症例が確認される事が多くなり、注目を集めるようになってきた。一方、脂肪肝の症例に対しても肝切除術を施行する機会が増加している。肝切除の際pringle法を用いる事が有用である。しかし、脂肪肝の虚血に対する耐用性は現在まで明らかにされていない。そこで本研究では実験的に脂肪肝を作成し肝虚血一再潅流実験を行い、脂肪肝の虚血に対する耐用性を明らかにする事を目的として、肝viabilityの指標である再潅流後の胆汁流量の回復率と電気インピーダンス(EI)とを比較検討した。【結果】Wistar系雄性ラットを用いて、コリン欠乏食を与えた脂肪肝ラット(F群)を作成した。一方対照として正常肝ラット(C群)を用いた。肝門部で門脈と肝動脈を遮断することにより全肝虚血とした。虚血時間は30、60分とした。EIはLCRメーター(HP-4284A)を用いて測定し、胆汁流量も5分毎に計測した。肝抵抗率(ρ,Ω・cm):F群は、<()内の値はC群>では、虚血前では1080±286(1041±118)であった。肝虚血後直ちに増加し、15分虚血では1908±1205(2893±538)、30分虚血では2464±1504(3727±463)で、いずれも虚血前値に比して有意(p<0.01)に上昇した。F群は60分虚血では3676±1342と上昇し続けたが、C群では虚血後40分で最高値3767±75を示し、虚血前に比して有意(p<0.01)に上昇した。虚血30分間の変化を見ると、F、C群ではそれぞれ17〜31、88〜109/分と後者で大きかった。胆汁流量:再潅流後60分の胆汁流量の回復率は、30分虚血では43〜63%、60分虚血後では4〜15%であった。一方、C群では30分虚血では89%、60分虚血では49%であった。肝虚血による障害の程度と相関する胆汁流量の回復率はF群はC群に比して不良であった。以上の結果より脂肪肝は正常肝に比し虚血に対する抵抗性が弱く、虚血の安全限界が短いことが示唆された。
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